クリニック開業の税理士選び|「節税」で選ぶと失敗する?元コンサルが重視する「概算経費」と「職員の質」

更新日 2025.12.19
投稿者:豊田 裕史

「クリニックの税理士なんて、どこも一緒でしょ? 顧問料が安くて、家から近いところが一番」
もしそう考えているなら、少し立ち止まってください。

開業準備に追われる先生にとって、税務は「丸投げしたい面倒な業務」かもしれません。自分でやるという選択肢はほぼないため、誰かに頼むことにはなりますが、この選び方を一つ間違えると、日々の診療中に「イライラの種」を抱え続けることになります。

  • 質問しても返信が遅く、決断できない
  • 無駄な事務作業を押し付けられ、診療後の時間が削られる
  • 法人化のタイミングを誤り、手続きでパンクする

これらは全て、税理士の実力不足ではなく「相性」と「提案のタイミング」のズレが原因です。

本記事では、一般的な「選び方ガイド」には載っていない、元医療コンサルの視点から見た「本当にドクターのストレスを減らし、利益を守れる税理士」を見抜く3つの裏基準と、最低限押さえておくべき5つのチェックリストを解説します。

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クリニック税理士選び「裏基準」:この3点で失敗を防ぐ

まずは、ホームページや見積書には載っていない、しかし契約後の満足度を決定づける「3つの裏基準」から解説します。

【裏基準1】「節税」より「QOL」?「概算経費」の提案力

概算経費の提案力

多くの先生が「税理士=税金を安くしてくれる人」と考えがちですが、実は開業初期においてもっと重要な役割があります。それは「先生のQOL(Quality of Life)と時間を守ること」です。

その試金石となるのが、「概算経費(租税特別措置法第26条)」へのスタンスです。

ドクターだけの特権「概算経費」とは

ごく簡単に言うと、年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合、「実際に使った経費」を計算せずとも、「決まった計算式(概算)で経費を計上しても良い」という特例制度です。

この制度の真のメリットは、節税効果以上に「事務負担の激減」にあります。本来なら1円単位で領収書を集め、整理しなければならない経費処理が、この特例を使えば大幅に簡略化されます。

出典:国税庁「第67条 《社会保険診療報酬の所得の計算の特例》関係」

以下は、社会保険診療報酬に対する概算経費率の速算表です。

社会保険診療報酬 概算経費率の速算表
2,500万円以下 × 72%
2,500万円超 3,000万円以下 × 70% + 50万円
3,000万円超 4,000万円以下 × 62% + 290万円
4,000万円超 5,000万円以下 × 57% + 490万円

「QOL重視」か「拡大志向」か

ここで税理士の「相性」が出ます。

  • 相性が悪い税理士:
    先生のライフスタイルを無視して、「1円でも税金を安くするために、すべての領収書を完璧に集めてください」と指導する。結果、診療後の貴重な時間が事務作業に消え、家族との時間が削られます。
  • 相性が良い税理士:
    「先生、今年は概算経費を使いましょう。少し税金は出ますが、その分、面倒な領収書整理から解放されます。空いた時間をご家族や休息に使いませんか?」と提案できる。

面談時には必ず「概算経費のシミュレーションはしてくれますか?また、私の働き方に合わせて提案してくれますか?」と聞いてみてください。

【裏基準2】税理士の「先生」だけを見るな、「職員」を見ろ

HPに載っている所長税理士がいかに立派な経歴を持っていても、契約後に先生が毎月やり取りするのは、実は「無資格の担当職員」であるケースがほとんどです。これを世間では一般的に「担当者ガチャ」と呼ぶこともあります。

契約後のストレス原因No.1は「レスポンス」

どんなに顧問料が安くても、レスポンスの遅い担当者に当たると、先生のストレスは計り知れません。逆に、優秀な担当者は、先生が何も言わなくても「そろそろ従業員(パート含む)が10名を超えるので、就業規則の届出が必要になりますよ」と先回りして教えてくれます。

※労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する場合、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出ることが義務付けられています。この「10人の壁」のリスクを事前にケアしてくれるかは、大きな差になります。

面談で「担当者の質」を探るコツ

契約前の面談で「実際に担当する職員を連れてこい」と要求すると、税理士側から「細かくて面倒な先生かもしれない」と警戒されるリスクがあります。そこで、面談に来た所長や営業担当に対し、あくまで柔らかく、こう聞いてみてください。

「もし契約した場合、どのような方が私の窓口になりますか? 例えば、freee(弥生会計など、お使いのクラウド会計ツール)扱いに慣れている方や、医療特有のレセプトの話が通じる方だと嬉しいのですが」

この質問に対し、「うちのベテラン職員を付けます(が、ITは苦手かも)」と答えるか、「若いですがクラウド会計が得意な者を付けます」と答えるか。その返答から、事務所の人材レベルや先生との相性を推し量ることができます。

【裏基準3】「法人化」は、手残り金額だけで決めると“パンク”する

「法人化」は、手残り金額だけで決めると“パンク”する

クリニック経営が軌道に乗ると、必ず「医療法人化」の話題が出ます。一般的に、法人化を検討すべきタイミングは以下の2つと言われています。

  1. 「利益(手残り)が1,800万円」を超えたとき(税率の逆転現象)
  2. 「社会保険診療報酬が5,000万円」を超え、節税メリットの大きい「概算経費」が使えなくなったとき

しかし、これらの「数字上のメリット」だけを見てGOサインを出す税理士は危険です。
なぜなら、法人化には約100万円の設立コストと、院長の精神力を削る「半年間の泥沼作業」がセットでついてくるからです。

「節税」の裏にある、膨大な手続きリスト

以下は、法人化のためにクリアしなければならないハードルの一部です。

  1. 人的要件の壁(理事3名・監事1名):
    自分一人では法人になれず、親族等の調整が必要です。
  2. 資産要件の壁(運転資金2ヶ月分):
    設立時に、約2ヶ月分の現金を用意し、拠出する必要があります。
  3. 終わらない申請リレー(半年コース):
    定款、事業計画書、社員名簿など必要な書類をそろえる必要があります。

医療法人の業務を監査する「監事」は、法人と利害関係のある人を任命できない仕組みになっています。医師が知り合いづてやコンサルタントに頼むケースがほとんどですが、監事代行業者も存在します。「今、先生に乗り越える余力があるか?」まで見極めてブレーキを踏んでくれるのが、センスのある税理士です。

上記業務を「今、先生に乗り越える余力があるか?」まで見極めてブレーキを踏んでくれるのが、センスのある税理士です。

参考:東京都保険医療局「医療法人設立の手引」

【必須チェックリスト】最低限確認すべき5つの項目

独自の裏基準に加え、一般的に税理士を選ぶ際に必ずチェックすべき「5つの基礎項目」についても解説します。これらを疎かにすると、基礎的なサービス品質でトラブルになる可能性があります。

1. 税理士報酬はどれくらいか

「安ければ良い」わけではありません。報酬の相場は、クリニックの年商や、税理士の「訪問回数」によって大きく変動します。

  • 一般的な相場感(月額顧問料): 3万円〜5万円程度
  • 決算料(確定申告): 月額の4〜6ヶ月分程度

「月1万円」などの格安事務所は、訪問が一切なく、記帳代行もしない(先生が自分で入力する)ケースがほとんどです。ご自身の事務処理能力と予算のバランスを見て判断しましょう。

2. 頼りになるか、経験値(医療特化か)

「会社」と「クリニック」では、税務の勘所が全く異なります。 例えば、「社会保険診療報酬(非課税)」と「自由診療・雑収入(課税)」の区分けを正確に理解しているかは最低条件です。

ここが曖昧な税理士だと、税務調査で否認され、追徴課税を受けるリスクが高まります。「クリニックの顧問先は何件くらいありますか?」と単刀直入に聞くのが良いでしょう。

3. 事務所の規模・信頼度

  • 個人の税理士事務所:
    フットワークが軽く、所長と直接話せる機会が多いのがメリット。一方で、所長が高齢でITに弱かったり、病気などで業務が止まるリスクがあります。
  • 大規模な税理士法人:
    組織的な対応が可能で、融資や許認可などの専門部署を持っていることが多いです。一方で、担当者が頻繁に入れ替わったり、画一的な対応になりがちというデメリットもあります。

4. 業務範囲・サービス内容

「顧問料」の中に何が含まれているかを契約前に必ず確認してください。よくあるトラブルの原因です。

  • 記帳代行: 領収書を渡すだけで入力してくれるのか、先生が入力後のチェックだけなのか。
  • 訪問頻度: 毎月来るのか、3ヶ月に1回か、年1回か。
  • 年末調整・給与計算: 別料金になるケースが多いです。

5. 得意分野

税理士にも「タイプ」があります。

  • 節税・税務処理タイプ: 正確な申告を最優先にする。
  • 融資・資金繰りタイプ: 銀行交渉に強く、お金を引っ張ってくるのが得意。
  • 経営コンサルタイプ: 増患対策やスタッフ採用まで口を出してくれる。

先生が税理士に「何を求めているか」によって、選ぶべきタイプは変わります。

失敗しないために「税理士紹介会社」を使い倒す方法

ここまで「裏基準」と「チェックリスト」をお伝えしました。しかし、これらを全てご自身で見抜き、比較検討するのは、開業準備中の先生にとって大きな負担です。

  • 「HPには良いことばかり書いてあって、実態が分からない」
  • 「担当者の質までは、契約してみないと分からない」

そうお悩みであれば、ぜひ私たちにご相談ください。

2ndLaboにご相談いただくメリット

私たちは税理士紹介サイトではありませんが、多くのクリニック開業を支援する中で、「ここは信頼できる」と感じた税理士事務所との繋がりがあります。

元医療コンサルタントの視点で、各税理士事務所の「得意分野」や「担当者の質」まで把握した上で、先生の経営スタイル(QOL重視か、拡大志向かなど)に合った事務所があれば、マッチする先だけを厳選してご紹介することも可能です。

もちろん、「まずは話を聞いてみたい」というだけでも構いません。先生のご相談は無料です。

まとめ:税理士は、マラソンの「ペースメーカー」

税理士選びは、単なる外注先選びではありません。クリニック経営という長いマラソンを、先生の横で一緒に走り、適切なペース配分(資金繰りや法人化のタイミング)を指示してくれる「ペースメーカー」のような存在です。

「顧問料が安いから」「家から近いから」という理由だけで選んで、途中で息切れしたり、コースを間違えて時間をロスしたりしては本末転倒です。

まずは、先生がどのようなクリニックを作りたいのか、どんな働き方をしたいのかを整理することから始めませんか? そのビジョンを共有し、最適なペースで伴走してくれるパートナーを見つけましょう。

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  • 「大きな決断となる医院開業。信頼できる企業にコンサルティングを依頼したい」

現在、上記のようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひとも私たち「2ndLabo」にご相談ください。開業に必要な情報をまとめた業界最大級の独自データベースとコンシェルジュの知見で開業準備、そして開業成功に向け伴走いたします。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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