皮膚科の開業|必要資金や平均年収・スケジュール・失敗事例まで徹底解説

更新日 2023.10.06
投稿者:豊田 裕史

「皮膚科の開業資金がどれくらい必要なのかわからない…」
「開業を成功させるために気をつけるべきポイントが知りたい」

皮膚科クリニックの開業を検討する中で、上記のような疑問や不安をお持ちではないでしょうか。

この記事では、皮膚科クリニックの開業について、成功するためのポイントや必要な開業資金、資金調達の方法、開業スケジュールなど詳しく解説していきます。皮膚科の開業を検討している方はぜひご覧ください。

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皮膚科クリニック開業は儲かる?市況を紹介

厚生労働省の公表している統計結果によると、皮膚科を標榜するクリニックは2020年時点で12,410施設(全体の12.1%)あります。これは全43診療科の中で、内科、小児科、消化器内科、循環器内科、整形外科に次いで6番目に多い施設数となっています。競合となるクリニック数が多いため、他院との差別化が大切です。最近では保険診療だけでなく、自費診療も併設した開業も多くなってきています。

2014年 2017年 2020年
12,328施設 12,198施設 12,410施設

出典:厚生労働省|令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況

皮膚科クリニックの開業資金はどれくらい?

皮膚科クリニックの開業資金は、テナント開業の場合で4,000万円~6,000万円程度です。保険診療のみであれば、顕微鏡やレセコン等の機材があれば診療可能なため少ない投資で開業可能です。自費診療も行う場合には、治療用のレーザー機器や美容系機器、専用の施術室などが必要になるため、開業資金は多く必要になります。

費用項目 費用相場
テナント/内装工事費用 2000万円程度
設備(電子カルテ、顕微鏡など)
※各種レーザー機器を導入しない場合
500万円程度
その他(採用費・HP制作費など) 800万円程度
運転資金 1500万円程度

自己資金はどの程度必要?

開業資金は全額を先生が自己資金として用意する必要はありません。開業に要する費用総額の1~2割程度を自己資金として用意するのが望ましいです。1,000万円程度準備出来るといいでしょう。

クリニック開業資金の調達方法は?

クリニック開業時の資金調達方法は、大きく下記の6つです。それぞれ融資の上限額や条件が異なります。詳しくは下記の記事で解説しているので、併せてご確認ください。

  • 日本政策金融公庫から借りる
  • 銀行・信金から借りる
  • 福祉医療機構から借りる
  • リース会社から借りる
  • 補助金・助成金を活用する
  • 自己資金を用いる

  • クリニックの開業資金の調達方法については【診療科目別】クリニック開業資金はどれくらい?自己資金の必要額までで詳しく解説しています。

    皮膚科クリニックの平均的な収支・年収を紹介

    皮膚科クリニックの平均的な年間所得は2,710万円です(個人クリニックの場合)。同じ年の調査では、個人クリニック全体での平均所得が2,505万円なので、平均よりやや高い給与水準となります。後述しますが、皮膚科は診療方針によって、診療単価や1日に診察する患者数が大きく異なってきます。保険診療と自費診療の割合で収支構造も変わってくるので注意が必要です。

    Ⅰ.医業・介護収益 6,003万円
    Ⅱ.医業・介護費用 3,293万円
    Ⅲ.所得(Ⅰ-Ⅱ) 2,710万円

    出典:第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

    皮膚科クリニックの診療報酬

    皮膚科クリニックでは、様々な疾患や症状に対応しますが、その中には、保険診療と自費診療の両方があります。保険診療とは診療報酬が認められる診療で、アレルギーや基礎疾患などが該当します。美容目的に行う施術は自費診療になります。

    皮膚科クリニックで診療報酬が認められる治療の例

    以下のような症状は保険診療として診療報酬が認められる場合があります。

    • 巻き爪
    • 眼瞼下垂
    • シミ

    巻き爪は爪の端が内側に巻き込んでしまう症状です。基本的に保険診療となりますが、ワイヤーや人工爪を使用する場合は自費診療扱いになる場合があります。眼瞼下垂とは、瞼を持ち上げる力がうまく伝わらず、上瞼が垂れ下がることで、視界が遮られる症状です。美容目的の場合は自費診療になりますが、視界が確保できなくなっている場合は診療報酬が認められます。シミ治療は基本的に自費診療ですが、一部保険診療となる場合があります。アザのような太田母斑やケガなどが原因でできた外傷性色素沈着などは保険適用が認められる場合があります。

    皮膚科クリニックでの診療コンセプトによる違い

    皮膚科クリニックの場合、保険診療をメインとするのか、自費診療も行っていくのかで、必要な医療機器や診療単価、1日で診察する患者様の人数などが大きく変わってきます。それぞれ見ていきましょう。

    保険診療をメインにする場合

    保険診療のみの場合、機器を用いた検査や処置が少ないため、初期投資の負担が軽くなります。皮膚科クリニックの平均的な診療単価は約2,800円です。診療単価が全診療科目の平均を下回るため、収益を上げるためには多くの患者様を診る必要があります。一方で平均診療単価は安くなりますが、アトピーや蕁麻疹の皮膚疾患をもつ患者様が対象のため年齢や性別を問わず集患が可能です。下記の表は保険診療をメインに行った場合の収益のイメージです。

    平均診療単価 約2,800円
    1日の患者数
    (1ヶ月の患者数)
    ※22営業日で計算
    約80人
    (約1,760人)
    1ヶ月の医業収益
    ※22営業日で計算
    約500万円
    年間の医業収益 約6,000万円

    自費診療も行う場合

    皮膚科の自費診療はレーザー治療が基本になるため、検査内容に応じたレーザー治療機が必要になります。レーザー治療器は海外製の製品が多く、価格も数百万円程度と高価な機器が多いです。その分、通常の皮膚科と比べて、開業資金は多く必要になります。自費診療も行うことのメリットは患者様1人あたりの平均単価が高くなり収益性が向上する点です。一方で美容中心の自費診療の割合が多くなると、男性や高齢者、子供が通いづらくなるというデメリットもあります。

    美容クリニックの開業については美容クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも徹底解説の記事で詳しく解説しています。

    皮膚科クリニックの開業成功のポイント【保険診療メインの場合】

    保険診療メインで皮膚科クリニックの開業を成功させるためのポイントについて解説していきます。

    • 人通りが多く、視認性の高い物件を選ぶ
    • 感染症への対策・患者様のプライバシーに配慮した内装にする
    • 患者様の待ち時間を減らす
    • HPやWEB広告を活用して集患・マーケティングを行う

    人通りが多く、視認性の高い物件を選ぶ

    保険診療中心の皮膚科では、診療単価が安くなるため、より多くの患者様を診る必要があります。保険診療をメインに行う場合、幅広い年齢層・性別がターゲットになるため、立地はアクセスの良い駅前などが良いでしょう。アトピー性皮膚炎やアレルギー対応など、子供の受診も多いことから、住宅地に近いエリアを選ぶことも選択肢として考えられます。

    感染症への対策・患者様のプライバシーに配慮した内装にする

    皮膚科を訪れる患者様の中には感染性の皮膚病を患っている人もいます。そのため、入り口を自動ドアにするなど感染症のことを考慮した内装にする必要があります。また、皮膚科では水虫やヘルペスなど、人に知られたくないと感じる疾患で来院する患者様もいます。診察室内での会話が外に漏れないように、防音対策は十分に行いましょう。

    クリニックの内装についてはクリニックの内装の基本を解説|設計時の注意点やおすすめ業者まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    患者様の待ち時間を減らす

    保険診療中心の皮膚科は、多くの患者様を診る必要がある診療科のため、待合室の混雑が予想されます。時間帯によっては1時間以上の待ち時間が発生することもあるでしょう。長時間の待ち時間は患者様にとってストレスとなり、悪い口コミにつながる要因となります。順番待ちシステムや診療予約システム、自動精算機などのツールなどを上手く活用して、患者様の待ち時間をいかに短縮できるかが大事になります。

    診療予約システムについては【2023】クリニックにおすすめの診療予約システム23選|価格や選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    自動精算機については【2023】おすすめ自動精算機メーカー比較|選び方や導入メリットまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    HPやWEB広告を活用して集患・マーケティングを行う

    皮膚科の場合、患者層が幅広いので、看板やチラシなどに加えてWEB広告も活用しましょう。皮膚科クリニックのマーケティングは、自院のブランディングや集患に欠かせません。皮膚科を標榜するクリニックは多くあるため、自院が得意とする専門分野を打ちだして、他院と差別化を図ることが大切です。

    看板製作業者については【2023】クリニック・歯科医院での実績豊富な看板製作業者10選を徹底比較|選び方のポイントも解説!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    チラシ作成についてはクリニック開業を成功させるチラシ作成のポイント|広告規制の解説もでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    マーケティングにはホームページやWEB広告が有効です。ホームページは、自院の情報や施術内容を詳しく紹介することで、信頼感や安心感を与えることができます。検索エンジンで上位表示されるようにSEO対策を行うことも重要です。

    ホームページ制作会社については【2023】クリニック・病院におすすめのホームページ制作会社17選でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    SEO対策についてはクリニックのSEO対策おすすめ企業5選【徹底解説】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    また、患者さんはクリニックを選ぶ際、「地名+診療科」で検索することが多いです。MEO対策を行うことで、患者さんが「地名+診療科」で検索した際に、クリニック名を上位に表示できます。

    MEO対策についてはクリニックのMEO対策とは?|メリットやツールを徹底解説!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    ただし、これらの広告は医療広告ガイドラインに沿って作成する必要があります。虚偽広告や誇大広告、比較優良広告や細かな説明のないビフォーアフター写真などは禁止されていますので、注意しましょう。

    医療広告ガイドラインについては【最新版】医療広告ガイドラインをわかりやすく解説!NG・OK表現もでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    皮膚科クリニックの開業成功のポイント【自費診療も行う場合】

    それでは、自費診療も行う場合はどうなのでしょうか。自費診療も行う皮膚科クリニックの開業成功のためのポイントについて解説していきます。

    • 遠方からの通院患者も通いやすい立地
    • 女性視点の内装や気遣い
    • 最新の治療機器はアピールポイント

    遠方からの通院患者も通いやすい立地

    保険診療の場合とは異なり、最寄り駅にあるから来るという患者様は少なくなります。WEBでの集客がメインとなるため、遠方からの通院患者も見込めます。遠方からの患者様も通いやすいように、アクセスの良いターミナル駅や商業地域がおすすめです。

    女性視点の内装や気遣い

    美容皮膚科に力を入れる場合は、女性患者を多く集める必要があり、女性視点の内装や気遣いが重要となります。診療内容によっては、化粧を落としてもらう必要があるため、パウダールームはあった方が望ましいです。メイク直しのアメニティも忘れずに準備するようにしましょう。

    最新の治療機器はアピールポイント

    美容皮膚科の場合、最新の治療機器を導入していることは大きなアピールポイントになります。ホームページ等で積極的に告知をしていきましょう。また、あざやほくろは自費診療と思われがちですが、保険適用が可能です。その点を訴求することも集患につながります。

    皮膚科クリニック開業までのスケジュール

    開業までのスケジュール例

    クリニック開業までの流れについては【成功へ導く】クリニック開業ロードマップ|成功に大切なポイントとはでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    まとめ

    この記事では、皮膚科クリニックの開業資金や開業を成功させるためのポイントについて解説しました。皮膚科クリニックの場合は美容皮膚科をどの程度行うかにより、収益や必要な設備が大きく異なるため、開業時の戦略が重要です。この記事で紹介したポイントをおさえて、開業の準備を進めてみてはいかがでしょうか。

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    中小企業診断士
    セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
    URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

    北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

    2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


    フリーランスWEBライター
    URL:https://twitter.com/kakeru5152

    元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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