「医師が開業するのは若くても(高齢でも)大丈夫?」
「医師が開業する適齢期はどれくらい?」
このようなお悩みをお持ちではないですか?
本記事では、医師が開業する平均年齢や適齢期について解説します。
また、実際に開業した先生の開業理由や年収など、よくあるお悩みについても詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
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2009年に社団法人日本医師会が行った「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」の結果では、新規開業の場合の平均年齢は41.3歳でした。開業して20年以上経っている場合の平均年齢は30代なので、開業時の平均年齢は上昇傾向にあります。病院などである程度のキャリアを積んでから開業するケースが増えてきています。
出典:開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査
継承開業を行う場合は、譲渡側と継承者がある程度の期間一緒に勤務する時間が必要です。2019年に日本医師会総合政策研究機構が発表した医師総研ワーキングペーパー「医業承継の現状と課題」に、休廃業・解散時の経営者の年齢が調査されていました。
60代の代表が24.3%、70代が27.0%、80代以上が23.5%という結果となっていました。
上記の内容を踏まえ、引き継ぎを行う時間とその後継承者が20年ほど事業を続けることを考えると40代くらいで継承開業するのが望ましいでしょう。
医師が開業する際の適齢期は40代から50代前半です。この年齢が適齢期になる理由は、ある程度の自己資金を準備しておく必要があるのと、開業に必要な能力を身につけるための経験をする期間として最適だからです。
開業に必要なのは、医師としての役割だけではありません。部下を持つ管理者としての役割や、事業を成功させるための経営者としての役割も必要になります。
まず、医師として求められることは、地域の患者さんが病気になって不安な時に、身近にあって何でも相談できる「プライマリ・ケア」としての役割です。医師は大学でさまざまな医療に関する知識を学びますが、その中でも得意な分野があるでしょう。その分野の専門医として知識や技術を身につけることはもちろん、他にも幅広い臨床経験を積んでおくと安心です。
管理者の役割は、看護師や医療事務など専門性を持つスタッフをまとめ、チームとして地域住民の健康を支えることが求められます。組織の中で管理者としての経験を積んでおくことも開業する際のポイントとなるでしょう。
勤務医から開業医に変わる時の一番大きな変化が経営者になることです。事業として成功させるには事業計画をしっかりと立て、戦略を考えることが重要です。また、開業する際は施設の工事や医療機器を揃えるための資金も必要になります。一般的に設備投資をすると、返済期間は10〜20年間となるでしょう。
このように、開業に必要な経験をし能力を身につけ、自己資金をある程度準備し、20年以上事業を続けることを考えると40代から50代前半が適齢期であると言えます。
年齢が高いほど、経験が豊富でスキルも身についているでしょう。その結果成功に繋がる確率も高くなります。しかし、年齢が高いからと言って、必ず成功するとも限りません。世の中には若くして開業して大成功を収めている方がたくさんいます。
医療とは異なる分野になりますが、下記の経営者は若くして開業して、今や誰もが知る会社を立ち上げています。
クリニック開業においても同様です。若くして開業をして成功を収めている開業医の先生は大勢いることでしょう。
なぜ、開業に至ったのか。その理由は人それぞれあるでしょう。
2009年に社団法人日本医師会が実施したアンケートでは、「理想の医療の追求」「将来に限界を感じた」「経営も含めたやり甲斐」がトップ3でした。
出典:開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査
雇われの身から自身での開業を決意した理由として最も多かったのは、「理想の医療を追求したい」です。5年以内に開業した医師の約6割が、勤務医を続けるよりも自身で理想の医療を追求したいと開業を決意しています。勤務医や雇われの院長では経営方針や診察方法など、自分で決めることはできません。しかし、自ら開業することで自分の思い通りの医院を作ることができます。
長時間労働による拘束や当直などの働き方を変えたいという理由で、開業を決意した医師も多いです。当直による不規則な生活や長時間勤務により拘束時間が長いと、精神的ストレスを感じたり疲弊してしまうこともあるでしょう。
開業すれば自分で診察日や診察時間を決めることができます。休みの日はしっかりと休息に当てたり、自身のスキルアップの時間として自分のペースで働くこともできるでしょう。
日経メディカルの調査では、男性勤務医の平均年収は1,220万円、女性勤務医の平均年収は1,016万円となっています。こちらの結果を見ると、医師全体で6割以上の医師は今の給与に満足しているようです。
しかし、35歳未満の医師は主な勤務先からの収入779万円、アルバイトでの収入を加えても940万円ほどで不満を感じている人もいます。
少し前の資料になりますが、2012年に独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、1,000万円未満の収入では5割以上の人が不満を感じるという結果でした。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
結論から申しますと、開業医に定年はありません。そのため、自分の裁量で引退する年齢を決めることが出来ます。極論、医師としての能力や健康状態に問題がなければ生涯現役を目指すことも可能です。しかし、実際には70~75歳程度で引退をされる開業医が多いです。日本医師会が行ったアンケート結果によると、クリニックの開業医が回答した引退予定年齢の平均値は73歳となっています。
また引退のタイミングに関しては、本人の意志だけで決めるのが難しいのが現状です。開業時の借入金の返済状況や、老後資金、後継者の問題など、引退の際に開業医を悩ませる問題は多くあります。近年、開業医の後継者不在を一因にクリニックで働く医師の高齢化が進んでいます。令和2年度に厚生労働省が公表している調査結果によると、クリニックで働く医師の平均年齢は60歳を超えてきています。少子高齢者社会の進展により、医師の引退年齢も今後ますます高くなっていくことが予想されます。
出典:厚生労働省|令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
クリニック開業に必要な資金の目安は、診療科目によって変わってきます。以下の通りです。
開業資金 | 自己資金 | |
---|---|---|
内科 | 6,000万円〜8,000万円 | 0円〜2,000万円 |
泌尿器科 | 1,000万円〜3,000万円 (その他建物代が必要) |
0円〜 |
脳神経外科 | 6,000万円〜2億5,000万円 | 0円〜 |
皮膚科 | 6,000万円〜8000万円(テナント開業) 1億2,000万円〜1億5,000万円(戸建て開業) |
0円〜1,000万円 |
小児科 | 4,000万円〜 | 0円〜 |
小児科 | 4,000万円〜 | 0円〜 |
産科・婦人科 | 5,000万円〜 | 0円〜 |
眼科 | 5,000万円〜 | 0円〜 |
精神科 | 1,400万円〜 | 0円〜 |
耳鼻咽喉科 | 4,000万円〜6,000万円 | 0円〜1,000万円 |
外科 | 4,500万円〜 | 0円〜 |
在宅医療 | 1,500万円~2,000万円 |
下記の表は個人クリニックの場合の想定年収をまとまめた表になります。
平均年収 | |
---|---|
内科 | 約2,460万円 |
皮膚科 | 約2,709万円 |
整形外科 | 約2,988万円 |
小児科 | 約3,068万円 |
産科・婦人科 | 約4,396万円 |
眼科 | 約1,511万円 |
精神科 | 約2,587万円 |
耳鼻咽喉科 | 約1,890万円 |
外科 | 約1,926万円 |
勤務医の時とは違って、大きな手術や緊急手術をすることは少なくなるでしょう。
基本的には、外来の患者様の診察や会話がメインとなります。
検査や手術を行うこともありますが、勤務医のように急な呼び出しで時間外に働くことはあまりありません。
また、クリニックを運営するためのスタッフ採用なども重要です。
勤務医の時は、もともとそこで働いていた人や新しく採用された人と働くだけでしたが、開業医となると自身が採用したスタッフと一緒に働くことになります。
自分自身が働きやすい環境を作るのはもちろん、他のスタッフも働きやすいように人間関係にも責任を持つ必要があります。
クリニックの開業を決めたけど、何からするべきかわからない。そんな方もおられるのではないでしょうか。クリニックを開業するまでにやっておくべきことは、以下の通りです。
【クリニック開業までにやるべきことリスト】
クリニック開業については【成功へ導く】クリニック開業ロードマップ|成功に大切なポイントとはでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
開業医にはっきりとした定年はありません。そのため生涯現役として働き続けることが可能です。
しかし、高齢になるにつれ視力の低下や手指が自由に動かなくなることがあります。そのような場合は、手先の器用さが必要な手術を行うことは難しいでしょう。
特に、外科医や歯科医の方は最大限の力を発揮することができない場合もあります。出来るだけ長く事業を続けるために、開業医としてニーズの高い整形外科やリハビリ、訪問診療などの経験も積んでおくことがおすすめです。
今回の記事では、医師が開業する平均年齢や適齢期について解説してきました。年々開業医の平均年齢は上がってきており、40代で開業する医師が増えています。
ある程度経験を積んでからという理由に加え、開業に必要な自己資金を準備する期間も含めると40代から50代前半での開業が望ましいでしょう。
開業医は勤務医とは違い、医師としてだけでなく管理者や経営者としての役割もあります。医師としての経験値を多く積んでおくことはもちろん、長期的な経営戦略などもしっかりと考えることが大切です。
開業コンサル選びの専門知識・時間がない方
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豊田 裕史|中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://twitter.com/toyoda_2ndLabo
セカンドラボ株式会社の社員。前職では都内近郊の医療機関を中心に医療機器の営業。日々、医療福祉施設向けの製品やサービス、企業の調査研究を行っています。
カケル
フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152
元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。