「訪問診療クリニックの開業は不安だ……。開業の成功ポイントを知りたい!」
訪問診療クリニックを開業するにあたり、具体的にどんな対策をすれば成功できるのか知りたい方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、訪問診療クリニックの開業成功ポイントをお伝えしていきます。
開業資金の調達方法や開業までのスケジュールについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
在宅医療(訪問診療)クリニックには2種類の開業パターンがあります。
どちらの開業方法にするのかを、事前に選ばなければなりません。
もし在宅医療のみの医療機関として開業する場合、いくつかの条件を満たす必要があるため注意してください。
開業条件については、次項で説明していきます。
在宅医療のみの医療機関とする場合、厚生労働省が定めた下記の条件を満たさなければなりません。
(1) 無床診療所であること。
(2) 当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定し、その範囲(対象とす る行政区域、住所等)を被保険者に周知すること。
(3) (2)の地域の患者から、往診又は訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ることがないこと。
(4) 外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、(2)の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意 を得ている場合にはこの限りではない)。
(5) (2)の地域内において在宅医療を提供し、在宅医療導入に係る相談に随時応じること及び当該医療機関の連絡先等を広く周知すること。
(6) 診療所の名称・診療科目等を公道等から容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間にわたり、診療所において、患者、家族等からの相談に応じる設備、人員等の体制を備えていること。
(7) 通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。
出典:厚生労働省『在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取扱いについて(平成28年3月4日付け保医発0304第16号)』
上記の通り、在宅医療のみを実施するクリニックを開業する際は厳しい条件をクリアする必要があります。
在宅医療(訪問診療)クリニックの場合、診療室や医療機器一式をそろえる必要がないため、ほかの個人診療クリニックと比べて開業資金総額は抑えられます。開業資金内訳の目安は以下の通りです。
賃貸物件(10坪程度)の敷金 | 約50万円 |
---|---|
内装工事、医療機器、備品 | 約150万円 |
往診車 | 約200万円 |
医師会入会金 | 約300万円 |
計 | 約700万円 |
出典:在宅診療(訪問診療)で失敗しない開業ポイント・年収や開業資金も解説
上記に加え、当面の運転資金1,000万円を合わせた1,700万円程度が、開業の初期投資として準備しておきたい資金です。
では、資金総額のうち、どの程度自己資金で準備できれば安心なのか気になりますよね。
本項では、在宅医療(訪問診療)クリニックを開業する際の自己資金の準備についてや、資金の調達方法を説明していきます。
結論から言うと、開業資金の全てを自己資金で準備する必要はありません。
なぜなら、金融機関などから融資を受けて開業資金をまかなうのが一般的だからです。
自己資金0での開業も不可能ではありませんが、以下のようなリスクがあるため、少なすぎる自己資金での開業はおすすめできません。
また、開業後は借入金の返済や利息の支払いが始まる上、当面の運転資金も確保していく必要があります。
そのため、開業資金総額の1〜2割は自己資金で準備しておくと安心です。
開業資金のうち、「自己資金」の調達方法は以下の2つです。
家族や親族からの援助を受ける場合、金額によっては贈与税が課税されてしまうため注意してください。
「自己資金以外」で開業資金を調達する場合は、以下のような金融機関等から融資を受けるのがほとんどです。
それぞれの機関によって融資限度額や融資期間、金利などが変わってきます。
担保や連帯保証人が必要な場合もあるため、各機関ごとの特長をよく比較した上で借入先を選ぶようにしましょう。
ほかにも、政府機関や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用するのもおすすめです。
「返済の必要がない」「自己資金や借入金を減らせる」など、メリットが大きい資金調達方法と言えるでしょう。
厚生労働省の調査によると、在宅医療(訪問診療)クリニックの平均年収は2,930万円です。下記の表は個人経営の場合の在宅療養支援診療所の年間収支をまとめたものになります。
収益 | |
---|---|
医業収益 | 約9,490万円 |
介護収益 | 1万円 |
経費 | |
人件費 | 約2,920万円 |
医薬品費 | 約1,150万円 |
その他 | 約2,491万円 |
個人の眼科クリニック収入(収益−経費)=約2,930万円 |
個人診療所の全体平均年収(2,528万円)よりも高く、高い収入が見込めると言えるでしょう。
なお、在宅医療(訪問診療)クリニックの場合、1人の医師で24時間365日体制を維持するのには限界があります。
そのため、3人以上の常勤医師で在宅医療体制を構築し、医師たちのワークライフバランスも実現できる環境を整えるのが望ましいでしょう。
出典:厚生労働省『第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)』(2021年調査)
在宅医療(訪問診療)クリニックの開業を成功させるポイントは以下の3つです。
次項では、上記のポイントを詳しく解説していきます。
開業する際の注意点についてもお話ししていきますので、参考にしてみてください。
在宅医療(訪問診療)クリニックを開業する上で、どのような在宅医療を提供できるのかを明確化する必要があります。
たとえば、医師として患者とその家族に何ができるのか、地域医療にどのように貢献できるのかなど、医師としての志について自身の考えをまとめておくとよいでしょう。
在宅医療(訪問診療)クリニックは、基幹病院や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所など、地域の施設との連携が非常に大切です。
ほかの施設とスムーズな連携は、患者へ充実したサポートを提供できるだけでなく、患者の容態にあわせて適切な医療施設を紹介できるといったメリットもあるのです。
「24時間365日対応可能」「重度障害の患者にも対応可能」など、当院ならではの特長をアピールしましょう。
また、それらの特長を分かってもらいやすいよう、ホームページ制作にも注力することをおすすめします。
在宅医療(訪問診療)クリニックのホームページでは、医療従事者の方に対する丁寧で真摯な発信を続けていく必要があります。
そのため、患者にはもちろん、地域の医師や基幹病院のスタッフ、高齢者向け入居施設の運営者に向けた案内を充実させましょう。
在宅医療(訪問診療)クリニックを開業するにあたり、システム構築への投資は妥協してはいけません。
在宅医療の場合、さまざまな書類を作成する必要があるため、書類作成業務に多くの時間が奪われてしまう可能性があるのです。
書類作成業務をIT化するシステムを導入すれば、浮いた時間を医療業務に当てられます。
システム導入で業務の効率化を図り、スムーズな在宅診療を目指しましょう。
クリニック開業までの流れについては【成功へ導く】クリニック開業ロードマップ|成功に大切なポイントとはでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
本記事では、訪問診療クリニックの開業成功ポイントをお伝えしました。在宅医療(訪問診療)クリニックの開業を成功に導くため、以下のポイントを重要視してください。
限りある時間を患者のために当てられるよう、ITシステムをうまく活用して業務の効率化を図るのもポイントです。なお、訪問診療クリニックを開業するのにかかる資金は、融資などでまかなうのがほとんどです。
ただし、開業後は借入金の返済が始まったり、当面の運転資金を確保する必要があるため、自己資金で開業資金総額の1〜2割程度を用意しておくのが望ましいでしょう。
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豊田 裕史|中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://twitter.com/toyoda_2ndLabo
セカンドラボ株式会社の社員。前職では都内近郊の医療機関を中心に医療機器の営業。日々、医療福祉施設向けの製品やサービス、企業の調査研究を行っています。
カケル
フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152
元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。