開業医時にオンライン診療を導入するメリットから、算定要件まで徹底解説!

更新日 2024.02.14
投稿者:豊田 裕史

オンライン診療は、スマホやパソコンから医師と患者様が遠隔(オンライン)で診療を行えるため、昨今の感染対策への意識の高まりから注目されています。今回は、クリニックの開業時にオンライン診療を導入するメリットから、算定要件まで徹底解説していきます。

オンライン診療の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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オンライン診療とは

厚生労働省によると、オンライン診療は以下のように定義されています。

「遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び 診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。」

つまり、スマホやパソコンなどを使用して、場所を選ばずどこからでも医師と患者様が診療を行える方法のことです。新型コロナウイルスの流行以後、診療報酬が改定されるなど動向が注目されています。

オンライン診療導入のメリット

オンライン診療の導入のメリットは、感染対策だけではありません。他にも多くのメリットがあります。

具体的には以下のメリットです。

  • 通院が困難な方でも受診可能
  • 患者様の待合室での待ち時間がなくなる
  • 患者満足度が向上
  • 感染対策
  • 再診率の向上

それぞれ見ていきましょう。

通院が困難な方でも受診可能

オンライン診療は、通院が難しい患者様でも顔を見ながら受診できる点がメリットです。たとえば足腰が悪い方、僻地に住んでいる方、交通の便が悪い方、遠方に引っ越してしまった方などが挙げられます。

また、これまで患者様の家族が病院まで送迎していた場合も、家族の都合に関係なく診療できるのも大きなメリットです。

患者様の待合室での待ち時間がなくなる

待合室での待ち時間の長さは患者様にとって大きなストレスになります。オンライン診療を導入することで、患者様は診察開始までの時間を自宅等で過ごすことが出来ます。診察後の会計待ち時間も同様です。よりリラックスした状態で診察を受けてもらうことができます。

患者満足度が向上

前述したようにオンライン診療の場合、患者様は自宅から受診が可能となり、診察までの時間を待合室で待機する必要がなくなります。結果的に患者満足度の向上に期待できます。

日本医師会総合政策研究機構の「日本の医療に関する意識調査」によると、受けた医療に満足していない最大の理由は、待ち時間が長いことです。診察に呼ばれるまでの時間、診察後から会計までの待ち時間は患者様にとって大きなストレスになります。オンライン診療の導入で、患者様は自宅でリラックスした状態で診察までの時間を過ごすことが出来るように、待ち時間に関するストレスが軽減することでしょう。

感染対策

オンライン診療を利用することで、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染リスクを防ぐことができます。

患者様が実際に医療機関まで行かずに済むため、院内感染の防止に効果が期待できるでしょう。

再診率の向上

オンライン診療は、患者様の都合に合わせて診療を行うことができます。自宅でゆっくり受診できるため、受診するハードルが下がり、再診率の向上に繋がります。継続的な受診によって患者様の病状悪化を予防することにもなり、医療機関側にとってもメリットがあることでしょう。

オンライン診療導入のデメリット

オンライン診療の導入はメリットだけでなく、デメリットも存在します。デメリットを知っておくことで、導入後にトラブルが発生してもすぐに対応できるようになるでしょう。

ここでは、オンライン診療導入のデメリットを以下の5つ解説します。

  • 導入コスト
  • 通信不良
  • 患者が操作に不慣れな場合は時間がかかる
  • クレジットカード決済などに対応する必要がある
  • 処置や検査ができない

導入コスト

まずおさえておくべきデメリットは、導入コストが発生する点です。利用するシステムによって導入コストは異なりますが、数十万円かかる場合もあります。

オンライン診療の中には初期費用・月額費用が無料で提供しているサービスもありますが、医療機関によっては機能が十分でない可能性もあるでしょう。

オンライン診療を導入する際は、価格面だけでなく自院に必要な機能も考慮しながら選ぶのが重要です。

通信不良

オンライン診療はネットワーク環境が必須のため、通信不良になるとシステムが停止してしまいます。

通信不良により、「動画が途切れてしまう」「音声が聞こえない」などのトラブルも多いです。

実際に日本オンライン診療研究会の「オンライン診療に関するアンケート集計結果」によると、以下のようなトラブルが報告されています。

  • 「通信不良により、診療が行えなかった」
  • 「通信不良により、コミュニケーションが十分に取れなかった」

通信不良によるトラブルは、医療機関と患者様双方に大きなストレスとなるでしょう。

出典:日本オンライン診療研究会|「オンライン診療に関するアンケート集計結果」

患者が操作に不慣れな場合は時間がかかる

オンライン診療は、パソコンやタブレットからビデオ通話で行います。高齢の患者様の場合、これらの操作に不慣れな可能性も考えられるでしょう。よくあるトラブルとしては、「画面は映るものの音声がオンになっていない」という事例です。

クレジットカード決済などに対応する必要がある

オンライン診療の精算は、基本的にクレジットカード決済やその他電子決済の対応です。

そのため、医療機関がオンライン診療を導入する際は、各種決済手段に対応しておかなければなりません。

オンライン診療プラットフォームを利用すればこれらの手間が省けますが、決済手数料やシステム利用料が発生します。

処置や検査ができない

オンライン診療は画面越しでの診療になるので、触診や検査などができません。問診に沿って自覚症状を確認することになります。

オンライン診療に適さない症状として、

  • 定期的な対面診察
  • レントゲン検査や呼吸機能の検査が必要な疾患
  • 腹痛や頭痛などの急性症状

などが挙げられます。

オンライン診療のみでクリニック開業はできるの?

オンライン診療のみでクリニック開業は可能です。しかし、オンライン診療の算定要件に「対面診療を行える体制が必要」とあるので、体制を整えた上で開業する必要があります。

情報通信機器を用いた場合の初診料、再診料

初診および再診の点数は、以下の内容になります。

  • 初診料:251点
  • 再診料:73点

算定要件についてみていきましょう。

「オンライン指針」に沿って情報通信機器を用いた診療

「適切な実施に関する指針」に沿って診療を行った場合に算定します。診療内容、診療日及び診療時間等の要点を診療録に記載しなければなりません。

保険医療機関に所属する保険医が保健医療機関内で実施する場合

原則、保険医療機関に所属する保険医が保健医療機関内で実施しなければなりません。

情報通信機器を用いた診療を実施した場所については、診療後に確認可能な場所である必要があります。

緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこと

切迫している状況では原則、必要な対応を行わなければなりません。ただし、どうしても対応できない場合は患者様が速やかに受診できるように、事前に説明し、以下を診療録に記載する必要があります。

  • 患者に主治医がいる場合は、担当医師の機関名
  • いない場合は対面診療を行えない理由、紹介先の医療機関名、紹介方法および患者の同意

対面診療を提供できる体制も有すること

オンライン指針によると、対面診療が行えるように整えておかなければなりません。

また、「オンライン診療で対応できない疾患などに関しては、医師が適切な機関を紹介しなければならない」としています。

患者様の状態によって対応が難しい場合は、ほかの機関と連携できるように整えておくのが重要です。

オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえること

オンライン指針に沿って診療を行い、適切な診療であることを診療録および診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

また、処方の際には、「初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」などのガイドラインを踏まえ、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に記載しなければなりません。

予約による料金徴収はしないこと

オンライン診療では、予約料の徴収ができません。

情報通信機器の運用に関する費用

運用にかかる費用は、「療養の給付」と「直接関係のないサービス等の費用」として別途徴収できます。

オンライン診療料は令和4年に廃止

慢性疾患の患者様に対して、ビデオ通話等を利用して診察をした場合、「オンライン診療料」を算定していました。しかし、令和4年の診療報酬の改定により廃止されました。新たに、「初診料(情報通信機器を用いた場合)」と「再診料(情報通信機器を用いた場合)」が設立されています。

廃止された診療料では、対象となる疾患が限定されており、直近3ヶ月の間に対面診療を毎月行った患者様に対してのみ算定できていました。診療報酬の改定により、初診からオンライン診療を行うことが可能になりました。

施設基準とオンライン診療の届け出

ここでは、施設基準とオンライン診療の届出について解説していきます。

そもそも施設基準とは?

厚労省が保険医療機関に対して定める、人員や設備などの条件のことです。

この条件をクリアしなければ保険医療を行うことができず、診療報酬を請求できません。

条件を満たしていなくても請求することは可能ですが、届出を行った場合のみ優遇があります。

オンライン診療の施設基準

以下の要件をクリアすることで、施設基準が満たされていると判断されます。

  • オンライン診療の体制が整っている
  • 「オンライン指針」にそった体制が整っている
  • 対面診療の体制が整っている
  • 医師が「厚生労働省が定める研修」を修了している

届出に関して現行は必須ではありませんが、届出ありの方が初診料が高くなっています。

施設基準の届出の流れ

ここでは、施設基準の届出を提出するまでの流れを解説します。

①書類のダウンロード

以下の2種類の書類が必要です。

  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類
  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書

②書類の作成

まず、届出書添付書類では、「診療体制等」の各項目にチェックを入れます。

また、「研修を修了している」の項目にもチェックを入れましょう。

届出書は、各項目にチェックを入れるだけなので簡単に作成が可能です。

上記2枚の書類を作成すれば、地方厚生(支)局に提出して完了です。

まとめ

本記事では、オンライン診療の概要や開業時に導入するメリット、算定要件などを解説してきました。導入することで、感染対策の強化や再診率向上など医療機関にメリットがあります。

また、通院が難しい患者様でも自宅から診療を受けることができ、待ち時間の短縮にもつながるため、患者満足度向上にも期待できるでしょう。

厚生労働省もオンライン診療の普及を推進している中、需要がますます高まり、多くの医療機関で導入が進むと予想されます。

本記事を参考に、オンライン診療という新たな診療形態を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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