耳鼻咽喉科の開業成功ポイント|開業資金や診療報酬、想定年収など

更新日 2023.10.06
投稿者:豊田 裕史

「耳鼻咽喉科クリニックの開業資金はどれくらいなのだろうか・・・?」
「開業後の年収はどれくらい変わるの?」

このようなことをお考えの先生もいることでしょう。

本記事では開業資金のイメージや開業後の年収・働き方、開業成功のポイントなど幅広く解説しています。開業を検討している方はぜひ参考にしてください。

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耳鼻咽喉科クリニックを取り巻く市場環境は?

耳鼻咽喉科を標榜するクリニックは全国に5,783施設あります。クリニック全体の施設数が約10万施設のため、耳鼻咽喉科を標ぼうするクリニックの割合は全体のわずか5.6%にすぎません。施設数が少ないため、自ずと耳鼻咽喉科クリニックの診療圏は広くなります。

また耳鼻咽喉科は患者様の年齢層が幅広いため、受診者数が非常に多いのも特長です。花粉症の時期には受診者数が大幅に増えるため、待合室は広めのスペースを確保する必要があります。

今後、少子化・人口減少が進むと、耳鼻咽喉科も少し患者数が減っていくと予想できます。患者数を維持して行くためには、専門分野や特定の患者層に特化するなど、他院と差別化を図っていく事がますます大切になってきます。

耳鼻咽喉科クリニックの開業資金はどれくらい?

耳鼻咽喉科クリニックの開業に要する資金は7,000万円〜1億円程度と言われています。耳鼻咽喉科は必要な医療機器の多さや、患者数が多いため広めの物件を借りる必要があるなどの理由で開業資金が高くなる傾向にあります。

項目 おおよその資金
不動産(敷金/礼金/仲介料など) 4,000,000円
施工(設計/施工/看板など) 25,000,000円
機器(診療に必要な医療機器) 30,000,000~50,000,000円
家具や家電 2,000,000円
システム(電子カルテ/予約システムなど) 4,000,000円
マーケティング・資材(ホームページやロゴ作成/広告/パンフレットなど) 4,000,000円
その他 2,000,000円
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分類 項目 数量・期間 おおよその資金額
不動産 敷金 6カ月 3,000,000円
礼金 1ヶ月 500,000円
仲介料 1ヶ月 500,000円
施工 設計・施工 30坪 20,000,000円
看板 1式 500,000円
機器 ユニット 1台 1,700,000円
PACS 1台 1,600,000円
手術顕微鏡、テレスコープ、電子スコープ、ドリルシステム 1式 8,000,000円
その他機器 1式 18,700,000円
家具・家電 家具・家電 1式 2,000,000円
システム 電子カルテ 1式 3,000,000円
予約システム 1式 1,000,000円
マーケティング・資材 ホームページ 1式 1,000,000円
ロゴ作成 1回 100,000円
広告 1回 2,000,000円
パンフレット 1式 300,000円
診察券 1式 50,000円
封筒 1式 50,000円
その他 その他 1式 2,000,000円

必要な自己資金はどれくらい?

耳鼻咽喉科クリニックは、自己資金ゼロでも開業することが可能です。ここまで説明した開業資金はすべて自分で用意する必要はなく、融資を受けるのが一般的だからです。とはいえ、1,000万円ほど自己資金を用意できるとより安心して開業できるでしょう。

開業資金の資金調達方法とポイント

クリニック開業時の資金調達法は大きく6つあり、それぞれ融資の条件や上限額が異なります。自己資金が少ない場合には融資を受けにくくなることもあるので注意が必要です。それぞれの資金調達方法については下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

  1. 日本政策金融公庫から借りる
  2. 銀行・信金から借りる
  3. 福祉医療機構から借りる
  4. リース会社から借りる
  5. 補助金・助成金を活用する
  6. 自己資金を用いる

開業資金の調達方法については【診療科目別】クリニック開業資金はどれくらい?自己資金の必要額までで詳しく解説しているので、あわせてこちらもご確認ください。

耳鼻咽喉科クリニック開業した場合の収支・年収はどれくらい?

耳鼻咽喉科を標榜する個人クリニックの平均所得は約1,890万円です。個人クリニック全体の平均所得が約2,500万円のため、他の診療科と比べると低い水準となっています。

個人クリニックの場合
Ⅰ.医業・介護収益 診療報酬 6,628万円
介護収益 0円
Ⅱ.医業・介護費用 人件費 2,464万円
医薬品費 517万円
材料費 117万円
その他 1,640万円
Ⅲ.年収(Ⅰ-Ⅱ) 1,890万円
医療法人の場合
Ⅰ.医業・介護収益 診療報酬 111,65万円
介護収益 0円
Ⅱ.医業・介護費用 人件費 6,460万円
医薬品費 634万円
材料費 142万円
その他 3,683万円
Ⅲ.年収(Ⅰ-Ⅱ) 246万円

出典:厚生労働省|第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

耳鼻咽喉科の診療報酬や外来人数は?

では実際にクリニックを開業した際に、1日にどの程度の患者様が来院すれば、経営が成り立つのでしょうか?ここでは耳鼻咽喉科クリニックの平均的な診療単価と外来人数について紹介します。

耳鼻咽喉科の平均診療単価

耳鼻咽喉科クリニックの平均的な診療単価は3,800円程度だと言われています。耳鼻咽喉科では、診察後に検査を経ず処置に移ることが多いため、他の診療科と比較すると診療単価は低い傾向にあります。診療単価が低い分、多くの患者様を診る必要があります。

耳鼻咽喉科の検査や手術の保険点数は比較的高いため、検査や手術を積極的に行っているクリニックほど診療単価は高くなります。また、小児科を併科していれば「小児科外来診療料」を算定することも可能です。クリニックの診療方針によって、診療単価も大きく変わってくると言えるでしょう。

耳鼻咽喉科の平均外来人数

耳鼻咽喉科クリニックの外来人数は1日に90人程度だと言われています。花粉症のシーズンになると、受診者数は普段の1.5倍程度まで膨らむこともあります。患者数が非常に多い診療科なので、待合室が混雑することへの対応が必須です。

損益分岐点となる外来人数は?

1日の外来人数が60~70人であれば損益分岐点を達成できると考えられます。耳鼻咽喉科クリニックで診療単価を3,800円とすると、毎月の返済額が約28万円の場合1日の外来人数が63人、毎月の返済額が約42万円の場合1日の外来人数は65人となります。

耳鼻咽喉科クリニックの診療方針は?

耳鼻咽喉科クリニックでは診療方針によって、1日の外来患者数や診療単価が変わってきます。耳鼻咽喉科クリニックでの診療方針を2つご紹介します。

小児科を併科で標榜する

先述の通り、小児科を併科して標榜することで「小児科外来診療料」を算定することも可能です。ファミリー層が多く暮らす住宅地での開業がおすすめです。保育園や小学校などが近隣に多くあれば、集患へとつながりやすくなります。

小児科外来診療料とは

小児科を標榜する医療機関において、6歳未満(0~5際)の患者様に対して診療を行った場合に算定をします。小児科外来診療料は出来高ではなく包括での算定です。小児科外来診療料で算定できる保険点数は、耳鼻咽喉科での平均診療単価より高い点数となっています。ただし、患者様によって小児科外来診療料を算定するか、通常通り出来高で算定するかは選ぶことはできない点に注意しましょう。小児科外来診療料の届出をする場合、該当するすべての患者様の外来診療料は包括で算定する必要があります。

1 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合
イ 初診時 599点
ロ 再診時 406点
2 1以外の場合
イ 初診時 716点
ロ 再診時 524点

小児科については小児科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説の記事で詳しく解説してしますので、こちらも参考にしてみください。

補聴器適合検査を実施する

補聴器適合検査」の算定は主に病院で病院で行われていましたが、近年クリニックで算定をする機会も増えてきています。補聴器専門店に任せきりの従来型の補聴器外来ではなく、自院で補聴器のフィッティング、適合検査、販売、アフターフォローまで一気通貫で行うことで患者様の満足度は高くなります。

補聴器適合検査とは

補聴器適合検査とは、対象となる患者様に実際に補聴器を装着してもらい、検査を行うことです。月に2回まで算定が可能です。補聴器適合検査を算定するためには、補聴器適合判定医師研修会の受講が必要です。届出を行うために満たすべき施設要件がありますので、よく確認をしておきましょう。また、備えるべき医療機器も施設要件に含まれていますので、機器選定の際に注意が必要です。

1回目 1,300点
2回目以降 700点

耳鼻咽喉科クリニックの開業成功のポイント

耳鼻咽喉科クリニックの開業を成功させるためのポイントを解説します。

集患・マーケティング

多くの患者さんがインターネットで情報収集を行うため、ホームページ制作やSEO・MEO対策などが重要です。専門用語ではなく、患者さんが検索するであろう単語を使って治療内容を説明しましょう。

また、加齢性難聴など高齢者向けの治療は口コミも重視されるため、補聴器メーカーの協力を得ることも大切です。開業する際は必ず複数メーカーとやり取りをし、面談を行うのがおすすめです。

立地・物件選び

耳鼻咽喉科は通年で子供の来院が多いのが特長です。したがって、高階層よりも低階層の方が向いています。自転車やベビーカーの置けるスペースを確保できるとなお良いでしょう。子ども向けに強みを発揮していくのであればファミリー層が多い立地を、成人の患者様をターゲットにするのであれば、駅から徒歩圏内の立地を選ぶと集患がしやすいです。

内装

耳鼻咽喉科は患者数が非常に多いため、医師は短い時間で多くの患者様を診る必要があります。ほとんどの診察や検査、処方が診療ユニットの周りで行われるため、医師の診療動線がいかに短くできるかが設計のポイントになります。子供の多い診療科でもありますので、待合室で子供を飽きさせない工夫や、感染症を考慮した部屋割りなども考慮しましょう。一般的に耳鼻咽喉科クリニックの適正規模は、30~40坪前後だと言われています。

患者様の待ち時間への対策

繰り返しになりますが、耳鼻咽喉科は非常に患者数の多い診療科です。平常時でも多くの患者様が来院されるのに加えて、花粉症の時期には平常時よりもさらに多い患者様が来院されます。そのため、待合室での待ち時間に対する対策も考えておきましょう。例えばWEB予約システムを導入して時間帯を予約制を設けたり、自動精算機を導入して会計の待ち時間を短縮するなどの方法があります。

実際にあった耳鼻咽喉科クリニックの開業失敗ケース

戸建て開業でもテナント開業でも、開業場所で失敗するケースが多いです。「良い場所」ありきで開業を始めるのは避けた方がよいでしょう。診療科目や地域、コンセプトによって検討するべきポイントは異なります。始めにクリニックのコンセプトをしっかりと固めたうえで、そのコンセプトにあった開業場所を選ぶようにしましょう。

また、土地や建築のコストを軽視し失敗してしまったケースもあります。開業した後患者さんが集まりきる前に、運転資金がなくなってしまう事例もあります。自己資金なしで開業することは可能ですが、その分土地や建築にかかるコストにはしっかりこだわることが重要です。

耳鼻咽喉科クリニックの開業までのスケジュールは?

開業スケジュール

クリニックを開業するまでの準備期間はおおよそ1年間はほしいところです。開業をするまでには事業計画書の作成、開業地・物件の選定、医療機関や什器類の選定、スタッフの採用などやるべきことが多くあります。余裕のあるスケジュールで開業の準備を進めていくことをおすすめします。具体的な開業までのスケジュール・手続きについては下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

クリニック開業までのスケジュールについてはクリニック開業の流れを徹底解説|時期別のやることリスト・成功に大切なポイントで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

耳鼻咽喉科クリニックの開業成功事例

ここでは耳鼻咽喉科クリニックの開業に成功した事例を紹介します。ぜひ参考にしてください。

予約システムとWEB問診を充実させた開業

予約システムとWEB問診を活用して成功した事例です。予約システムから患者さんがすいている時間を確認できるため、患者さんの待ち時間がほぼなくなりました。あわせてスタッフの負担も減らすことができました。周囲の耳鼻咽喉科クリニックと比べて待ち時間が少ないこともあり、人気のクリニックとなったケースです。

耳鼻咽喉科と内科を標ぼうして開業

内科もあわせて標ぼうすることで成功した事例です。インフルエンザの予防接種が始まる10月ごろから花粉症が落ち着く5月までという長期間、高収益を継続することができています。スタッフを適切に配置することで、繁忙期が落ち着く夏頃に、他院よりも多く休暇を支給できています。

まとめ

今回は耳鼻咽喉科の開業において、必要資金や開業後の収入イメージ、成功のポイントなど幅広く解説してきました。耳鼻咽喉科は患者数が非常に多い診療科なので、短い時間で多くの患者様を診るための内装設計や、患者様の待ち時間に対する対策が大切になります。開業を検討されている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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