耳鼻咽喉科の開業を検討する際、どの程度の資金が必要になるのか、自己資金をどの程度用意すれば良いのか心配している方も多いでしょう。
失敗しないためにも開業に必要な資金を把握しておき、現実的な事業計画を立てていくことが大切です。
本記事では、開業資金のイメージや開業後の年収・働き方、開業成功のポイントなど幅広く解説していくので、開業を検討している方はぜひ参考にしてください。
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目次
そもそも耳鼻咽喉科は受診する患者さんの数が多くなる傾向にある診療科目で、その人数は平均で1日90人程度とも言われています。さらに、高齢者はもちろん若い人や子どもの患者数が多いことも耳鼻咽喉科の特徴です。
風邪やアレルギーといった症状も扱う診療所があることや、花粉症で受診する患者さんが多いことが理由に挙げられます。近年花粉症に悩む患者は増加傾向にあり、シーズンの2・3月になると普段の1.5倍にも患者数が膨らむこともあるほどです。
また、コロナウイルスによって診療を控える人が多く、感染拡大の第一波・第二波のころは減収してしまった耳鼻科が多くありました。しかしながら現在は診療控えが回復し患者が戻ってきている傾向にあり、復調のきざしが見られています。
耳鼻咽喉科クリニックの開業にあたって大きな問題となるのが開業資金であり、どの程度の金額になるのかと不安な方もいるのではないでしょうか。
どの地域で開業するか、どの程度の設備を整えるかなど条件により差が大きく出るものの、一般的に耳鼻咽喉科クリニック開業に要する資金は7,000万円〜1億円程度と言われています。以下の表は開業にかかる、項目別資金の一例です。
項目 | おおよその資金 |
---|---|
不動産(敷金/礼金/仲介料など) | 4,000,000円 |
施工(設計/施工/看板など) | 25,000,000円 |
機器(診療に必要な医療機器) | 30,000,000~50,000,000円 |
家具や家電 | 2,000,000円 |
システム(電子カルテ/予約システムなど) | 4,000,000円 |
マーケティング・資材(ホームページやロゴ作成/広告/パンフレットなど) | 4,000,000円 |
その他 | 2,000,000円 |
あくまで一例であり、クリニックごとに内容は異なりますが、耳鼻科は必要な医療機器の多さなどから開業資金が高くなる傾向にあります。
患者が多いことから、待合室にゆとりを持たせる目的で広めの物件を借りる必要が出てくることもあるようです。
耳鼻科の開業にはかなりの資金が必要になりますが、全額自己資金で用意するものではなく、融資などで資金を準備するのが一般的です。資金調達については後で詳しく説明します。
自己資金がほぼなくても開業できる場合もありますが、リスクヘッジの意味でもある程度の自己資金は必要になってくるでしょう。できれば開業資金の2割程度、金額で言うと1,000万円以上の貯蓄があることが望ましいと言われています。
そもそも医療開業用の資金にかかる金利は低く設定されており、自己資金が少なくても融資は受けやすいというのが現状です。
もちろん融資が受けやすいといっても、その後は返済していく必要がありますから、無理のない資金計画を立てることが大切でしょう。
耳鼻科の開業に当たって、融資を受けて資金を調達しようと考える方は少なくありません。自己資金が少なくても開業できるケースもありますが、資金を調達するにはいくつかのポイントを抑えておくことが大切です。
まず、クリニック開業における資金の調達にはいくつかの方法があり、それぞれ特徴が異なることを把握しておきましょう。
メジャーなのは日本政策金融公庫で、比較的低金利で借り入れられる上、個人事業主の方や実績がない方でも利用しやすいです。他にも民間金融機関や医師信用組合から融資を受ける方法があり、補助金/助成金が受けられる場合もあるのでチェックしておきましょう。
続いて、必要な資金の内訳を整理することもポイントになるので、できれば開業の知見があるコンサルタントなどに相談しつつ、漏れのないように必要な資金をシミュレーションしましょう。
さらに、事業計画書は融資の可不可や融資率に関わってくる大切な要素のため、他のクリニックとの差別化や競合性などまで考慮できると良いでしょう。
耳鼻咽喉科クリニックを開業するとどの程度の年収水準になるのか、また働き方はどうなるのかなどイメージしづらい方もいるのではないでしょうか。収入や働き方は、個人での開業か法人での開業か、また立地や営業の仕方などでも変わってくるでしょう。
厚生労働省による医療経済実態調査を見ると、平均の年収は1,900万程度となっており、他の診療科を含む全体平均と比べると低くなっています。
以下の表は、耳鼻咽喉科クリニックの収益と費用を、個人クリニックと医療法人に別に分けまとめたものになります。個人と法人の場合で損益額に差が生じていますが、法人の場合は給与に院長の収入も含まれています。
個人クリニック | 医業収益・介護収益 | 約8,800万円 |
経費(人件費/薬品費など) | 約4,900万円 | |
損益差額 | 約3,900万円 | |
医療法人(※入院診療収益なし) | 医業収益・介護収益 | 約10,600万円 |
経費(人件費/薬品費など) | 約10,200万円 | |
損益差額 | 約400万円 |
出典:第23回医療経済実態調査
また働き方としては、患者数の多さやそれほど重大な疾患を扱う科ではないこともあり、一人にかける診療時間は短めになる傾向にあります。多くの患者をさばくために、診療時間が長くなるなど医師の負担が大きくなってしまっているクリニックも少なくないようです。
耳鼻咽喉科クリニックの開業を成功させるにはいくつかのポイントがあるのでおさえておきましょう。
先にも述べた通り、資金を調達する方法はいくつかあるため、ご自身に合う方法を選ぶことが大切です。また、開業に伴って物件を探したり医療機器を購入したりするため、不動産やメーカーに問い合わせるという機会も増えるでしょう。この際、複数社に相談して相見積もりを取り、比較しながら選んでいくのがおすすめです。
初期費用だけでなく、長い目で見た運用コストやメンテナンス費なども確認しておくことで、事業計画も立てやすくなります。
開業するクリニックの強みとするところやコンセプトに合わせた立地選びは、集患の観点でも重要になるでしょう。例えば子ども向けに強みを発揮していくなら、ファミリー層が多い立地を選ぶなどです。
さらに、近い場所に競合となりうるクリニックがないか、モールなどでは内科と競合にならないかなどをチェックしておく必要があります。お客さんの取り合いになったり後からトラブルに発展したりすることを避けるためにも、事前に相談しておきましょう。
現状、マーケティングは集患のため無視できない要素となっており、ホームページの作成や口コミ対策などが求められます。診療システムや機器の選定などをコンセプトと合わせて考慮すべきでしょう。
また、ただ患者さんを増やすことだけでなく、いかにストレスを減らして診療を受けてもらうかという観点も必要です。WEB上で予約し待ち時間を減らすシステムを導入するクリニックも増えていますので、検討してみましょう。
クリニック開業については【成功へ導く】クリニック開業ロードマップ|成功に大切なポイントとはでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
今回は耳鼻咽喉科の開業において必要な資金や開業後の収入イメージ、成功のポイントなど幅広く解説してきました。クリニックの開業においてネックになるのが開業資金の調達ですが、具体的にどの程度金額がかかるのかイメージしづらいものです。
場所選びやどの程度の設備を整えるかによって変わってくるため、それぞれで収支イメージを算出し、事業計画を立ててみるのがポイントになります。知見のある人に相談するのも有効ですので、まずは資金や開業後のイメージについて計画を立てるところから始めてみましょう。
開業コンサル選びの専門知識・時間がない方
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横山 洋介
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://twitter.com/yoko_2ndLabo/
セカンドラボ株式会社の社員。マスコミ業界から転職しました。医療福祉業界の人手不足を知り、大きく業務効率化できる可能性を感じています。医療福祉の業務効率化につながるツールを研究しています。
カケル
フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152
元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。