「小児科の開業資金はどの程度必要か?」「開業後の年収は?」「小児科の開業時に注意すべきことは?」と気になっている方もいるでしょう。
小児科の開業にはおおまかに4,000万円~6,000万円程度の資金が必要だと言われています。また開業後の小児科医の平均年収は約3,000万円(個人クリニックの場合)となり、他の診療科と比べても高い水準になっています。
この記事では小児科クリニックの開業にかかる資金や年収イメージ、開業時に注意すべきことなどについて広く解説しています。開業を検討されている方はぜひ参考にしてみて下さい。
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目次
近年の動向を見てみると、小児科のクリニック数自体は減少傾向にあるようです。全国の小児科クリニック数は、ここ10年で約10%程度減ったというデータもあります。
これには、少子化が顕著になり対象となる患者さんが減っていることが要因の一つと考えられるでしょう。また患者数が多い傾向にある診療科のため、医師の業務量が多くなってしまうことから、なかなか小児科医が増えないことも理由と言えるかもしれません。
とはいえ、子どもの身体の心配から細やかに診療に訪れる親御さんも多く、少子化が進んでいると言っても患者数はやはり多いと言えます。新たに小児科を開業する余地はまだまだあると考えられ、成功のためにはしっかりとしたコンセプト設計や戦略が重要になってくるでしょう。
小児科クリニックの開業においてまずネックになるのが、開業資金の調達だと心配されている方も少なくないでしょう。そもそも開業にあたってはどの程度の資金が必要になるのでしょうか。
立地やテナントの広さ、設備への投資などクリニックにより条件には差がでるため一概には言えないものの、おおまかには4,000万円〜6,000万円程度必要と言われています。以下に項目別の予算イメージの一例をまとめました。
項目 | おおよその資金 |
---|---|
不動産(敷金/礼金/仲介料など) | 4,000,000円 |
施工(設計/施工/看板など) | 25,000,000円 |
機器(診療に必要な医療機器) | 5,000,000~8,000,000円 |
家具や家電 | 2,000,000円 |
システム(電子カルテ/予約システムなど) | 4,000,000円 |
マーケティング・資材(ホームページやロゴ作成/広告/パンフレットなど) | 4,000,000円 |
その他 | 2,000,000円 |
親御さんと同伴で来院される場合が多いことや、ベビーカーで訪れる方もいることを想定すると、広めのテナントを用意する必要があるでしょう。一方で診療に必要な医療機器がそれほど多くないこともあり、他の診療科目の開業資金と比べると価格をおさえて開業することが可能です。
先に述べたように、小児科の開業では4,000万円程度の資金が必要になりますが、これらは全て自己資金で用意するというわけではなく、融資等を受けて資金を準備するのが一般的です。医療開業に伴う融資は金利が低い傾向にあり、どちらかと言えば融資は受けやすい傾向にあります。それほど自己資金が用意できなくても融資を受けて開業できる可能性はあるでしょう。
しかしながら、リスクヘッジの意味も含めて1,000万円以上の自己資金があると安心です。最低でも2割程度の資金が用意できると負担も減らせると思われます。
小児科クリニックを開業する際には、資金を借り入れるのが一般的です。自己資金が少なくても融資を受けて開業できるケースはありますが、以下3つのポイントを抑えておきましょう。
まず、資金調達と言っても借入先にはいくつかの選択肢があることを把握しておきましょう。主には「日本政策金融公庫」「民間金融機関」「リース会社」から融資を受ける場合が多く、金利や融資までのスピード感などそれぞれ特徴が異なります。また行政からの補助金や助成金が受けられるケースもありますので、チェックして最適な方法を選びましょう。
そして開業資金の内容を整理すること、その後の事業計画をしっかり練り上げておくことは、余裕を持った資金計画を運用する上で重要です。明瞭な資金計画は融資を受ける際に有利になるメリットもあるため、専門家に相談して検討すると良いでしょう。
実際に小児科クリニックを開業し軌道に乗ったら、どの程度の年収になるのか、またどのような働き方のイメージになるのか見ていきましょう。収入や働き方は、個人クリニックか法人クリニックか、また立地や営業の方針などによって異なってきます。
第22回医療経済実態調査によると、小児科の個人クリニックの平均年収は約3,000万円程度となっています。この金額は外来診療収益等の医業収益から、給与や医薬品費、材料費等の経費を引いた金額になります。
個人クリニック | 医業収益・介護収益 | 9,604万円 |
---|---|---|
経費(人件費/薬品費など) | 6,572万円 | |
損益差額 | 3,068万円 |
出典:第22回医療経済実態調査
では他の診療科と比べた際に、小児科は儲かるのでしょうか?第22回医療経済実態調査によると、個人クリニック全体での開業医の平均年収は2,506万円となっています。小児科の開業医の平均年収は全体の平均年収を大きく上回っています。また下記の表は同年の調査結果をもとに、診療科別に平均年収が高い順に並べた表になります。小児科の平均年収は産婦人科に続き2番目に高い金額になっています。
診療科 | 平均年収 |
---|---|
産婦人科 | 4,396万円 |
小児科 | 3,068万円 |
整形外科 | 2,988万円 |
皮膚科 | 2,709万円 |
精神科 | 2,587万円 |
全体 | 2,506万円 |
内科 | 2,406万円 |
その他 | 2,355万円 |
外科 | 1,926万円 |
耳鼻咽喉科 | 1,890万円 |
眼科 | 1,511万円 |
出典:第22回医療経済実態調査
小児科クリニックでの1日の平均患者数は55~60名ほどです。クリニックを安定して経営するためには、患者数は非常に重要です。また、小児科クリニックの診療単価は約5,000円です。1日あたりの患者数が1人増えるだけで年間の収入に大きく影響するため、集患やマーケティングが重要になります。
小児科では冬に患者数が増える傾向にあります。特に11月から2月までは患者数が多く、6月から8月にかけては少なくなることが多いです。予防接種を含め、インフルエンザの流行が大きく経営を左右します。
2009年に社団法人日本医師会が行った「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」の結果では、医師がクリニックを開業する平均年齢は41.3歳です。小児科クリニックに限定したデータはありませんが、30代~40代で開業医になる方が多いようです。
クリニック開業の平均年齢については医師が開業する平均年齢や適齢期はどれくらい?具体例も交えて解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
小児科は主に子どもが診療対象となり、さらに親が同伴しクリニック選びや診療の際の決定権を持つケースが多いという特徴的な診療科です。そのためターゲットが明確であり、開業成功のためにはいくつかのポイントがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
小児科クリニックは、開業する立地の選定を慎重に行うべきでしょう。ターゲットがファミリー層ですので住宅地が適していますが、利便性を考えて駅周辺を選ぶクリニックもあります。住宅地の中でも賃貸が多い地域が特におすすめです。戸建ての多い地域に比べて入居者が入れ替わりやすく、メインの患者層になる14歳までの子どもが回転するためです。
いずれにせよ、車での来院を想定して駐車場を確保し、ベビーカーの利用者のために建物内の1階もしくはエレベーターのある物件を選びたいところです。
子どものストレスをできるだけ減らし快適に過ごせるよう、内装を工夫することも必要です。例えば、壁を淡い色合いにする、怪我をしないように院内の物や家具は角が丸いものにするなどの工夫が考えられます。
さらに、おもちゃや本を用意してキッズスペースを設ける、テレビで子供向けの番組を流すなども有効です。クリニックの評判にも関わる部分のため、多少コストを要しますがこだわる価値はあるでしょう。
クリニックの内装についてはクリニックの内装の基本を解説|設計時の注意点やおすすめ業者まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
集患の観点では、WEB上の広告やマーケティング戦略に力を入れることが大切です。子どもの親世代はインターネットが主な情報収集ツールとなっていると考えられ、ネット上の情報や評判を見てクリニックを選びをする場合も多いでしょう。
ホームページを充実させることをはじめ、リスティング広告を運用したり動画やセミナーの配信をしたりするクリニックもあります。
また、集患に伴い診療予約システムの導入も検討すべきでしょう。待ち時間を減らして患者さんのストレスを減らせるだけでなく、クリニック側の対応もスムーズにできるようになります。
小児科においては、予防接種や乳幼児健診に対応するかどうかも大事なポイントです。例えば、赤ちゃんは生後2ヶ月以降に、数種類の予防接種を受ける必要があるため、最初の予防接種で自院を選んで貰うことが出来れば、その後も継続してクリニックを利用して貰える可能性が高くなることでしょう。予防接種や乳幼児健診を行う場合は、自院のHPやSNS等で積極的に案内をすることをおすすめします。
注意点としては、予防接種や乳幼児健診など、自治体の業務委託や費用の助成を受けるためには医師会への入会が必須となる自治体が多いということです。地域によりルールも異なりますので、開業時においては医師会へルールの確認が必要です。医師会への加入は数百万円することもありますが、地域のクリニックとコミュニケーションが取れる点でもメリットがあります。小児科は地域との関わりが大事な診療科になりますので、開業に際しては医師会への加入も検討するようにしましょう。
小児科クリニックにいらっしゃる親御さんは、病気で具合の悪い子供を待ち時間で長時間待たせるのに対して強いストレスを感じます。そのため、待ち時間削減効果のある診療予約システムを導入するのも視野に入れましょう。
診療予約システムについては【2023】クリニックにおすすめの診療予約システム23選|価格や選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
小児科には、感染性の強い新型コロナウイルス、水痘、おたふくかぜ、麻疹、風疹といった症状で来院する患者さんもいらっしゃいます。そういった場合は、導線を工夫することで接触を防ぐ必要があります。
地方での開業でクリニックが広い場合は、隔離室を設けるのも選択肢です。
小児科では、患者ではなく母親(父親)にご納得いただくことが大切です。インフォームドコンセントという点を念頭においた診療を心がけましょう。また、医学的に正しいからと言ってご納得いただけずに、診療が終了してしまうと悪い口コミをグーグル等で書かれる場合があります。口コミは集患にも影響する要素なので、気を付けましょう。
小児科クリニックの開業にあたり、立地にもよりますが集患のためにある程度広告にも予算を割く必要があります。小児科クリニックが実施する広告マーケティング活動としては、主に下記が挙げられます。リソースや立地、クリニックのコンセプトと照らし合わせて、どこに予算を割くか、戦略的に調整しましょう。
小児科クリニックの診療報酬点数は増加傾向にあります。必要な要件を満たすことで、診療単価を上げることができます。
「小児かかりつけ診療料」は、小児患者に対し、かかりつけ医として医療を提供するクリニックを評価するものです。同じ保険医療機関を4回以上受診(予防接種や健診など保険外の受診を含む)した未就学児が対象になります。小児かかりつけ診療料の届出を行うことで、「機能強化加算」の届出も可能になります。機能強化加算はすべての患者さんの初診料に80点加算されるため、あわせて届出を行うとよいでしょう。
さらに、患者さんが「小児かかりつけ診療料」に登録できるのは、ひとつの医療機関だけと国で定められているため、転院防止にも効果的です。
小児科クリニックの開業で必要になる主な医療機器は以下の通りです。
医療機器を導入する場合は、複数メーカーから相見積もりを取るのがおすすめです。機能面や価格を比較し、開業計画に適した製品を選択しましょう。
クリニック開業については【成功へ導く】クリニック開業ロードマップ|成功に大切なポイントとはでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
小児科クリニックを開業後のポイントは以下の2点です。
それぞれ詳しく解説します。
小児科医は常に新しい知識や技術を学ぶ必要があります。一般的な小児疾患だけでなく、アレルギーやぜんそく、発達障害などの専門分野にも対応できるようにすると他院との差別化にもつながります。また、保護者や地域の人々と関わり、ファミリークリニック的な要素の強いクリニックとして幅広い診療を行うのも手です。
病気や治療の内容を、視覚的に説明したり資料で説明したりすることが必要です。特に病気や治療について説明したプリントを渡すことで、患者さんが自宅でも内容を確認できます。高い技術や最新の機器を使用していても、普段聞きなれない病名や薬の名前、用法を患者さんがきちんと理解することは難しいです。患者さんの立場にたった説明体制や資料を整えることで、患者さんから選ばれる小児科クリニックに近づきます。
今回は小児科の開業に必要な資金や年収イメージ、開業成功のポイントなどについて解説してきました。
クリニック開業にあたってネックになるのが資金調達ですが、自己資金が少なくても融資などを活用して開業できるケースもあります。専門家に相談しながら事業計画を立て、流れをイメージしていくと良いでしょう。
小児科はターゲットが明確な診療科目ですから、集患対策や戦略をしっかり練ることからはじめ、開業への一歩を踏み出しましょう。
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