「駅徒歩3分、診療圏人口3万人。競合も少ない好立地です!」
業者からこんな提案を受けて、「これなら勝てる」と契約を急ごうとしていませんか? 少し待ってください。その数字、そのまま信じると危険です。
多くの先生方が、「診療圏調査の数字」だけで物件を決めてしまい、開業後に「なぜか患者が来ない」と頭を抱えています。
実は、地図上の数字には「高齢院長の引退リスク」や「患者さんが嫌がる階段」といった、現場を見ないと分からない"落とし穴"が隠されています。
本記事では、開業支援を行ってきた元コンサルタントの視点で、業者が絶対に教えない「物件選びの裏側」と、失敗しないための「泥臭い現地調査」のやり方を解説します。
もし一つでも当てはまるなら、私たち「2ndLabo」にご相談ください。
20件以上の支援実績を持つ元コンサルタントが、地図には載らない「隠れたリスク」や「競合の本当の強さ」を診断し、その物件が本当に"買い"なのか判定します。
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ここでは、よい立地とは何か?クリニックを開業する立地の考え方を解説していきます。
競合クリニックとの関係は非常に重要です。まずは、検討している立地の近隣の競合クリニックをピックアップした上で、以下の点を考慮するようにしましょう。
競合先の科目別受療率を調査して、立地を検討するのは重要です。立地を選定する上で、診療圏調査は非常に大切なので、しっかりと行うようにしましょう。科目別の受療率を調査することで、自院に適した立地かどうかを検討しやすくなります。
エリア内にどのような医療機関があるか、また、そのエリアの人口動態もしっかりと調査する必要があります。たとえば、検討しているエリアが近々都市開発されるのであれば、今後人口が増える可能性が高いと分かるでしょう。
多くの先生は「半径1km以内に競合が3件もある」と悲観します。しかし、経験のあるコンサルタントは必ず「そのライバルの戦闘力」を確認します。
もしこれらに当てはまるなら、そこは「激戦区」ではなく、IT化と若さで勝てる「入れ食いエリア」です。逆に、競合が少なくても「若手院長がバリバリやっている」なら避けるべきです。
数字ではなく「相手の顔」を見ることが、立地選びの第一歩です。
エリアの供給と需要の把握も非常に大切です。主に、以下の2点を考慮して検討しましょう。
推定患者数と医院数を比較して、供給と需要を把握しておきましょう。推定患者数は、以下の計算式で割り出せます。
都心部であれば、利便性が高く、人口が多いです。しかし、競合が多く、診療圏は狭くなってしまいます。逆に、郊外であれば、競合は比較的少ないです。
また、運営コストが安い傾向にあるので、利益率が高くなります。ただし、アクセスが悪いなどのデメリットもあるので気をつけなければなりません。
クリニック開業において、診療圏調査は非常に重要です。ここでは、そもそも診療圏とは何なのか。診療圏調査に必要な情報や活用方法を解説していきます。
診療圏とは、1つのクリニックに対して、患者が訪れやすいエリアのことです。クリニックを円の中心にした時、患者が来院しやすい範囲を診療圏とします。
診療圏の目安は、内科であれば半径500m以内です。内科よりも患者が訪れる頻度が低い傾向の耳鼻科や皮膚科は1,000m程度で、科目や都心・郊外で異なります。
診療圏分析ツールについては診療圏分析ツールおすすめ8選|メリットや選定時のポイントを紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
診療圏調査に必要な基本的な情報は以下の通りです。
住所は番地まで決めると、より正確な計算ができます。また、同じ診療科のクリニックが近く(診療圏内)にあるかどうか、近くに調剤薬局があるかどうかなどの情報を収集しましょう。
たとえば、大きな道路沿いにあるAクリニックと、そのすぐ近くにBクリニックがあるとしましょう。BクリニックはAクリニックから近いものの、大きな道路から一本路地に入った場所にあります。
この場合、道路沿いにあるAクリニックのほうが、地域住民の認知度は高いです。集患に関しても、Aクリニックのほうが上手くいくでしょう。
Bクリニックは、道路沿いに看板を設置するなど、集患対策を工夫しなければなりません。このように、同じエリアでも、ちょっとした立地の違いで集患に大きな影響を及ぼします。
診療圏調査で「人口が多い」と出ても、患者さんがそこへ辿り着けなければ意味がありません。
例えば、整形外科やリハビリ科の場合、以下のポイントが命取りになります。
「自分のお客さん(患者さん)」が、雨の日に傘をさしてその物件まで歩けるか?
そこまで想像するのが、本当の診療圏調査です。
クリニック開業時の診療圏調査は、コンサルタントなどに依頼をして行われるケースがあります。また、専用ソフトもあるので、診療圏調査そのものは難しくありません。
しかし、調査予測をそのまま信用するのは危険です。実際に開業した際に、まったく違った結果が出ることは少なくありません。たとえば、以下の要素は単純な診療圏調査ではカバーできません。
その他にも、さまざまな要素に考慮しなければ精度の高い予測ができないので、経験豊富なコンサルタントなどに依頼するのがおすすめです。
クリニック開業に伴う物件選びで失敗しないためには、以下のポイントに注意しましょう。
クリニック開業の物件探しのポイントについてはクリニック開業の物件探しのポイントとは|物件の種類や注意点などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まず、集患要素を考慮する必要があります。選び方や条件をチェックリスト化した上で、人口動態や利便性を調査するようにしましょう。
たとえば、「購入か賃貸か」「物件のタイプは何にするか」「テナントビルであれば何階にするか」などを明確にして、リスト化した上で物件を探すといいでしょう。
人口動態もしっかりと調査する必要があります。現時点でそれほど人口が多くなくても、都市開発計画が立てられている場合は、今後人口の増加が期待できるでしょう。
また、利便性に関しても同様で、現時点でアクセスは良くなくても、新路線が開通するなどの理由でアクセスが良くなるかもしれません。このような要素も、事前に調査しておく必要があります。
物件の設備や環境も事前に入念に確認しておいた方がいいです。
たとえば、ビルテナントの場合、クリニック内装工事には、電気容量・排水管の位置・天井高・換気や重量制限など、建物の条件があります。医療モール型の場合は、1つの建物に複数のクリニックが集まっているため、施設の駐車場が利用でき、そのぶんコストを削減可能です。
逆にビルテナントの場合は、近くに駐車場がないという可能性があります。このように、物件の設備や環境の確認も重要な要素のひとつです。
開業準備を始めると、様々な業者から「先生だけに特別な物件を紹介します」と持ちかけられることがあります。
はっきり言いますが、本当に良い物件は、業者が営業して回る前に水面下で埋まります。
向こうから提案してくる時点で、それは「誰かが断った残り物」か「業者が売りたい(グリップしている)物件」である可能性が高いのです。
業者が提案してきた物件をうのみにせず、「なぜその物件がおすすめなのか」「好立地なのに空いている理由は何か」など、業者の本音を引き出す「粘り」が必要です。自ら情報を掴みに行くか、利害関係のないセカンドオピニオン(コンサルタント)に物件の良し悪しを判断させることが、カモにされない唯一の方法です。
たとえば、医療モールであれば、さまざまな診療科目のクリニックが集約されているので、必然的に多くの患者の目に触れることになります。そのため、集患しやすいです。しかし、テナントビルと比べて賃料や共益費は高い傾向にあります。
このように、建物によってメリット・デメリットがあるので、慎重に検討しなければなりません。
基本的に、患者はクリニックに対して清潔で静かな環境を求めています。しかし、周辺に騒音や振動が発生する店舗や施設があると、医療サービスの提供には適しません。
テナントビルの場合、バリアフリー設計になっていなければ、不便に感じる患者もいるでしょう。クリニックは、医療サービスを提供する場であるということを忘れないように、物件を選ぶことが大切です。
開業時の建物の電気容量については開業時は建物の電気容量もチェック|医療機器が使える物件選びでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここでは、クリニック開業で物件を安く手に入れる方法を紹介していきます。
先生ご自身が「家賃を下げて」と大家さんに言うのはおすすめしません。足元を見られたり、心証を悪くするリスクがあるからです。
経験あるコンサルタントが入る場合、近隣相場のデータを基に「ビジネスライクな条件交渉」を行います。
単なる値下げだけでなく、「フリーレント(最初の3か月程度の家賃無料)」や「内装区分の変更(大家負担工事を増やす)」などを引き出し、実質100万円単位で得をするケースも珍しくありません。
クリニック開業の際、物件を安く手に入れたいのであれば、承継や居抜き物件を検討してみるといいでしょう。 居抜き物件の場合、開業までの時間を短縮でき、開業コストを大幅に抑えられるなどといったメリットがあります。
承継開業であれば、患者を引き継ぐことができるので、初月から利益が期待できるでしょう。しかし、居抜き・承継開業にはそれぞれデメリットもあるので、以下で詳しく解説していきます。
クリニックの継承開業についてはクリニックの継承開業(承継)とは?メリットやデメリットを解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まず、居抜き・承継開業の場合、レイアウトの自由度が低く、老朽化している可能性があるなどのデメリットがあります。他にも前のクリニックのネガティブな評判を引き継ぐ可能性があったり、前院長と比較されたりといった、可能性もあるので注意しなければなりません。
居抜きもしくは承継開業を検討する際は、売り手と買い手双方が納得し、お互いの利益を考慮した上で決断することが大切です。物件が安いからといって、安易に決断しないように注意しましょう。
ここまで解説したように、クリニック開業において、立地選びは非常に重要です。診療圏調査は入念に行わなければ、開業後の経営が難しくなる可能性があります。開業物件を探している方は、今回の記事の内容を参考にした上で、開業物件サイト等を活用してみるといいでしょう。
診療圏調査の数字だけでなく、「競合の質(年齢・IT化)」や「患者さんの動線(階段・バリアフリー)」まで含めた、プロによるセカンドオピニオン診断を行います。
特に整形外科・泌尿器科をご検討の先生には、専門的な視点で厳しくチェックします。
業者の提案を鵜呑みにする前に、まずは「土地の答え合わせ」をしませんか?