クリニック開業時に必要な医療機器は?選び方や選定時の注意点まで

更新日 2023.11.20
投稿者:豊田 裕史

クリニック開業時は、さまざまな準備が必要です。そのなかでも重要なのが医療機器の選定ですが、どのように選べばいいか、何に注意すればいいのか分からないという方は少なくないでしょう。

そこで今回の記事では、クリニック開業時に必要な医療機器について詳しく解説していきます。また、選び方や選定時の注意点も紹介していますので検討する際の参考にしてください。

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目次

【診療科別】クリニック開業で必要な医療機器は?

ここでは、以下の診療科別にクリニック開業で必要な医療機器を紹介していきます。なお、診療科によって医療機器の価格にばらつきがありますが、おおよそ1500万円~2500万円程度になるケースが多いです。

  • 一般内科
  • 小児科
  • 整形外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 皮膚科
  • 眼科
  • 脳神経外科

一般内科

一般内科の場合は、一般撮影装置や超音波画像診断装置などの医療機器を含めて、総額2,000万円程度の費用がかかります。X線装置は準備に時間がかかるので、内装を設計する段階でしっかりと検討しておくようにしましょう。

また、心電計の導入を迷うケースがありますが、それなりの使用頻度が見込めるため、採算は取れることが多いです。一般内科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 一般撮影装置
  • 超音波画像診断装置
  • 電子内視鏡システム
  • 心電計 等

小児科

小児科の場合は、 一般撮影装置や血球計数CRP測定装などの医療機器を含めて、総額1,000万~1,500万円の費用がかかります。費用を抑えたい場合、X線装置は導入せずに、近隣のX線装置がある医療機関に依頼するという手段があるので覚えておくといいでしょう。

また、できれば予約システムを導入するのがおすすめです。小児科の場合、患者は小さな子供であり、順番がくるまでクリニック内で待つのは、子どもだけではなく親にとっても負担が大きくなります。車の中などで待っていてもスマホに通知が届くようにしておくことで、順番待ちのストレスを軽減することが可能です。小児科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 一般撮影装置
  • CR/PACS装置
  • 血球計数CRP測定装置
  • 予約システム
  • 滅菌器 等

整形外科

整形外科の場合、骨密度測定装置やリハビリ機器などの医療機器を含めると、総額3,000万円程度の費用がかかります。
ウォーターベッド型のマッサージ機の導入を検討する方もいるかもしれませんが、それよりも理学療法士を雇用したほうがクリニックの評価につながる可能性が高いです。

整形外科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 一般撮影装置(天井式)
  • CR/PACS装置
  • 骨密度測定装置
  • リハビリ機器 等

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の場合、ネブライザーや電子内視鏡システムなどの医療機器を含めると、総額1,500万円前後の費用がかかります。
診察ユニットの数は早い段階で決めておくといいでしょう。ユニットの導入にあたっては、購入価格だけではなく、メンテナンスなどにかかるランニングコストも考慮して導入する必要があります。

耳鼻咽喉科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 診療ユニット
  • ネブライザー
  • 電子内視鏡システム
  • オージオメータ/聴力検査室 等

皮膚科

皮膚科の場合、CO2レーザー装置やQスイッチレーザー装置などの医療機器を含めると、総額1,400万円前後の費用が必要です。
ただし、皮膚科はどのような自由診療に対応するかで必要な機器が変わってきます。保険診療にも対応する場合は、それに適した機器も必要です。

なお、自由診療で必要な機器はトレンド性が強く、10年で費用を回収しようと思っても、3年後には需要が低くなることも考えられるので注意してください。

皮膚科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 顕微鏡
  • CO2レーザー装置
  • Qスイッチレーザー装置
  • 滅菌器 等

眼科

眼科の場合、眼底カメラや眼圧計などの機器を含めると、総額1,800万円前後の費用が必要です。
ただし、眼の疾患は非常に幅広いため、どこまで対応するかで必要な機器は異なります。

レーシックに関しては、消費者庁から注意喚起情報が発表され、大手クリニックでも患者の獲得が難しい状況です。そのあたりのことも考慮した上で、対応範囲を検討するようにしましょう。

眼科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • 眼底カメラ
  • 眼圧計
  • 静的視野計
  • 液晶視力表 等

脳神経外科

脳神経外科の場合、MRIやCTなどが必要になるため総額1億円ほどの費用が必要になります。メーカーによって価格は異なりますが、MRIは1.5Tの場合7,500万円前後、CTは16列タイプで1,800万円前後と非常に高額です。

そのため、慎重に必要な機器・機能を検討した上で導入するようにしましょう。

脳神経外科で必要になる代表的な医療機器は以下の通りです。

<代表的な医療機器>

  • MRI装置
  • CT装置
  • 一般撮影装置
  • CR/PACS装置 等

クリニック開業時の医療機器の選び方は?

ここでは、クリニック開業時の医療機器の選び方について解説していきます。基本的には、以下の4STEPで検討していきますので参考にしてください。

医療機器の選定スケジュール

STEP1:必要な医療機器の洗い出し

診療科目や対応範囲によって必要な医療機器は異なります。そのため、まずは何が自院に必要かリストアップしていきますが、その際、医師としてだけではなく経営者という立ち位置で検討しなければなりません。

特に、MRIやCTは高額なので、無理に導入すると他の機器に充てる予算が不足してしまいます。近隣の医療機関と連携できる部分は依頼するようにして、極力コストを抑える努力をするのも必要です。

STEP2:優先順位付け|周辺病院との連携や検査の外注も検討

一方、電子カルテは業務効率化につながるため、どの診療科でも導入メリットが大きいです。そのため、優先順位は高いと言えるでしょう。

このように、必要な医療機器をリストアップした上で、優先順位をつけていくようにしましょう。

STEP3:比較検討

必要な医療機器をリストアップし、優先順位をつけたら具体的に製品を選んでいきます。メーカーによって価格や機能が異なるため、初期費用だけではなくランニングコストも考慮しなければなりません。

その際、1社の製品だけ見るのではなく、複数社の製品を比較検討することで、最適な製品を選ぶことができます。

STEP4:導入方法(購入・リース)の検討

医療機器を導入する際は、無理して購入する必要はありません。リースで導入することで融資枠を上手く活用することが可能です。また、リースの方が新しい機器を導入する際や増設するときに柔軟に対応できます。

しかし、購入・リースにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、次項で詳しく解説するので参考にしてください。

医療機器の導入は購入とリースどちらがおすすめ?

医療機器導入にあたっての購入・リースのそれぞれのメリット・デメリットは以下の表の通りです。

メリット デメリット
購入 ・総額を抑えられる ・初期費用の負担が大きい
・買い替え時は処分料がかかる
リース ・初期費用を抑えられる
・新機種に乗り換えやすい
・途中解約ができない
・総額は割高になる

購入のメリット

購入した場合、リースで導入するよりも総額が安くなります。購入するために借入をした場合でも、多くの場合はリースよりも金利が低いです。

また、これはケースバイケースですが、現金一括購入の場合は値引き交渉できる可能性があります。

購入のデメリット

購入は初期費用の負担が大きいです。無理に購入することで、予算が不足してしまう可能性があります。

また、新機種に乗り換える場合は処分料が発生するため、コストの負担が大きいです。新機種乗り換えの可能性も考慮した上で、検討するようにしましょう。

リースのメリット

リースは分割して支払うため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。また、新機種に乗り換える場合は、リースをやめればスムーズに乗り換えられます。医療機器の処分料はかかりません。
最新機器を導入することで、患者満足度の向上も期待できるでしょう。

リースのデメリット

リースは、原則途中解約ができません。ただし、違約金を支払えば解約できます。違約金は、解約時の残リース料が目安です。
また、リースは数年間使い続けた場合、購入した場合よりも総額が高くなる可能性があります。

医療機器選定時の注意点は?

医療機器を選ぶ際は、以下の3点に注意しましょう。

  • 複数の業者から見積りを取る
  • 初期費用だけでなく保守費用や消耗品費も含めて検討する
  • 主要な医療機器は院内のレイアウトを決める段階から決めておく

それぞれについて詳しく解説していきます。

複数の業者から見積りを取る

医療機器を選ぶ際は、複数のメーカーから相見積もりをとるようにしましょう。
たとえば同等の性能を備えているA社の機器と、B社の機器があるとします。しかし、性能は同等ですがA社は200万円でB社は180万円です。

この場合、B社の提示価格をA社に見せることで価格交渉ができ、値引きに応じてくれる可能性があります。
少し手間はかかるかもしれませんが、有効な方法なので相見積もりはしっかりとるようにしましょう。

初期費用だけでなく保守費用や消耗品費も含めて検討する

医療機器は導入時の本体価格だけではなく、保守費用や消耗品費などのランニングコストも含めて検討するようにしましょう。
ランニングコストを含めて考えておかなければ、経営が厳しくなってしまう可能性があるので注意しましょう。

主要な医療機器は院内のレイアウトを決める段階から決めておく

主要な医療機器については、院内レイアウトを検討する前に決めておくことで、効率的に院内設計を行うことが可能です。これによって、必要なスペースや患者・スタッフの導線が変わってきます。

また、医療機器を導入する際は、以下の検証も忘れないようにしましょう。

  • 医療機器の重量
  • 給排水
  • 電気容量
  • 搬入経路

まとめ

ここまで解説してきたように、診療科目によって必要になる医療機器は異なり、価格も差があります。選び方や注意点も複数あるので、これらのことは早い段階から理解しておいた方がいいでしょう。今回の記事の内容を参考に、医療機器の選定を進めてみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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