クリニックを開業する際には「事業計画書」を作成するのが一般的です。既に開業し、クリニック経営を成功させている方のほとんどが事業計画書を作成した経験がおありでしょう。とはいえ、初めての方にとっては、どのように作成すれば良いのか、何から手を付けたら良いのか分からないものです。
そこで当記事では、クリニック開業時の事業計画書の書き方や作成の流れを解説していきます。これからクリニックの開業をしようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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クリニック開業時に必要な「事業計画書」とは、事業内容や戦略、資金計画などをデータ化した資料のことです。作成時の決まりはありませんが、一般的には下記のような内容を盛り込むことが多いでしょう。
クリニックの診療科目によって、必要な医療機器は変わってきます。また、クリニックの雰囲気に合わせて、内装を統一させていく必要があるでしょう。さらに、財務計画では毎月の支出と収入を細かく洗い出し、安定した運用が可能かどうかを検討する必要があります。
クリニックを開業する際には、事業計画書を作成するのが一般的です。事業計画書を作成する際には、事業の屋台骨を作るイメージで取り組みましょう。ここからは、クリニック開業前に事業計画書を作成する目的を解説していきます。
最初の目的として「クリニックの理念を明確にするため」という点が挙げられます。クリニック開業の事業計画書には、事業の目的や理念、ビジョンなどを組み込んでいきます。どのようなクリニックにしたいのか、ビジョンや理念を明確にすることはクリニック経営において非常に重要です。
価値観が共有されることで、全職員が同じ方向に向かって業務をこなせるようになるからです。今はぼんやりとしたイメージしかない医師でも、事業計画書を作成することによってビジョンや理念がはっきりしてくることもありますので必ず作成しましょう。
開業後のリスクを最小限にするためにも、事業計画書の作成は重要です。クリニックは開業後も、安定して経営を続けていく必要があります。そのためにも必要な支出と収入を綿密に計算しておかなければなりません。
事業計画書をしっかり立てておくことで、必要な機器をあらかじめ洗い出すことができます。それにより、不要な機器を購入してしまうなど、資金繰りを悪化させる要因を防ぐことにもつながるはずです。
金融機関の融資に通るためにも、事業計画書の作成は必ず行っておかなければなりません。事業計画書に含まれる資金計画や収支計画には、開業後のお金の流れが記載されています。そのため、融資を受ける際に、金融機関側から事業計画書の提出依頼を受けるケースも少なくありません。
仮に提出依頼がなかったとしても、事業計画書は提出しておいた方が良いでしょう。口頭では伝わりづらい細かな情報を伝えることで、審査に通る可能性が高くなるからです。
最後は「資金ショートを防ぐ」効果が期待できます。事業計画書の資金繰り表には、中長期的な資金繰り計画を立てていきます。クリニックの収入や毎月の支出だけでなく、税金の支払いや借入額の返済など、資金に関するすべてを表にすることで可視化が可能です。
将来的に資金がショートすると予測できれば、事前に対応策を考えておくことができます。たとえば、経費の削減をしたり、金融機関で追加の融資を相談したりといった行動を取ることで、クリニックの経営を継続させることができるでしょう。
ここからは、事業計画書作成の流れを解説していきます。大まかなステップを解説しますので、何から手を付けていいか分からないという方は参考にしてください。
下記は日本政策公庫が公開している歯科医院向けの事業計画書になります。
出典:https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei08_220401j.pdf
事業計画書の公式テンプレートはありませんが、ネットで検索すれば見本となるようなテンプレートがいくつか出てくるはずです。どのようなものを作ったら良いのか分からないという方は、それらのテンプレートを参考にしながら作成していきましょう。
事業計画書には起業の動機やクリニック経営者の略歴、従業員数や事業の見通しなどを入れ込んでいきます。その他にも借り入れ状況や資金調達方法も記載しましょう。
まずは、クリニックを開業する目的を明確化していきます。なぜクリニックを新たに作りたいのか、開業後はどのようなクリニックにしていきたいのか、自分の気持ちや目標を具体的にしていきましょう。
また、目的は「短期目標」と「長期目標」に分けて考えていくことがポイントです。短期目標は1年後や3年後のゴールに達成したい目標のことで、長期目標を達成するための段階的な目標になります。短期目標と長期目標を分けることで、最終的な目的を達成しやすくなるはずです。
次に現状把握と競合分析を行っていきます。現状把握とは、診療圏でクリニックがどの状態にあるかを理解することです。立地条件や知名度、技術、サービス内容や従業員数などを総合的に考えて、現状を把握していきましょう。
一方で、自分たちのクリニックだけでなく競合クリニックの状況を調査することも必要です。診療圏内に同じ診療科目のクリニックがあれば、重点的に調査していきましょう。現状把握と競合分析を行うことで、定めた目的とのギャップに気づくことができます。
そのギャップを埋めるために、どのような対応策を取るべきか、戦略を立てる際の参考になることでしょう。
最後のステップは、取り組むべき事業の明確化です。目的を達成するために、どのような事業に取り組んでいくべきかを考えていきましょう。取り組むべき事業を具体的にしていくことで、問題点や事前に解決するべき課題も見えてきます。
なお、事業を明確にする際には、責任者を誰にするのか、具体的にどのような行動を取るべきかを考えていきましょう。また、いつまでに事業を行うのか、日取りも決めておくことで事業計画が現実的になっていきます。
事業計画書には、コンセプトや経営理念など「言葉で示すもの」と、資金計画や具体的な収支計画など「数字で示すもの」が必要です。 ここからは、事業計画書の書き方や作成方法を具体的に解説していきます。
クリニックのコンセプトや経営理念は「言葉で示すもの」に分類されます。開業するクリニックの基盤ともいうべきもので、どのようなクリニックを経営したいのかを文章で示していきます。
コンセプトの例としては、下記の通りです。
コンセプトを明確にしながら、具体的にどのような取り組みを行っていくのかも記していきましょう。
一方、経営理念とは、クリニック全体の方向性を決めるものです。コンセプトとは違い、抽象的な概念であることが多いでしょう。経営理念の例としては、下記が挙げられます。
スタッフ全員の道しるべになるのが「経営理念」なので、明確な言葉で端的に表現されたものにすると良いでしょう。
「数字で示すもの」になるのが、資金計画です。資金計画は言葉でなく数字で記すことで、ひと目で把握しやすくなります。資金計画を立てる際には、どれくらいの自己資金を用意できるのかを把握しておくことが必要です。
自己資金で足りない費用は、金融機関で融資を受ける必要があります。仮に融資を受けると金利も発生しますので、金利額も資金計画に含めておきましょう。それ以外にも、返済期間や金利が変動した場合の返済額も書いておくことが大切です。
最後は「収支計画」です。支出としては、開業に必要な初期費用や毎月必要な固定費が含まれます。初期費用には物件取得費だけでなく内装工事費や医療機器の購入費用、広告宣伝費を書いていきましょう。
一方で固定費の中には、人件費や水道光熱費、ローンの返済費用などが含まれます。資金計画はクリニックを安定して経営するために必要不可欠です。収支計画が曖昧だと、クリニック経営が不安定になるリスクが高くなるので慎重に作成していきましょう。
クリニックの開業資金については診療科別の医院・クリニックの開業資金|開業医の資金調達方法まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
事業計画書は金融機関から確実に融資を受けるために必要な書類です。作成する際には、開業コンサルタントや税理士に同席してもらうと、スムーズに進められるでしょう。ここからは、融資に通りやすい事業計画書を作成するポイントを解説していきます。
最初のポイントは「1ヶ月あたりの売上を予測」することが大切です。1ヶ月あたりの売上は、予想来院数と診療報酬単価から算出します。なお、予想来院数は、診療圏分析で大まかな数字を出していきましょう。
診療報酬は診察一回あたりの単価のことです。2年に1度見直しが行われ、点数が公表されています。1ヶ月あたりの予想来院数に診療報酬単価をかけた数字が、クリニックの売上になるので事前に算出しておきましょう。
次のポイントは、変動費を検討しておくことです。変動費とは、固定費と違って生産量や販売量によって増減する費用のことです。クリニックにおいては、医薬品や医療材料費、検査委託費が変動費に含まれます。
変動費は時期によって価格が変わるため、定額で資金計画に組み込むのはリスクが高くなります。そのため、収入に対する割合で計上しておきましょう。一般的には院外処方で10%、院内処方で25~35%が相場です。
固定費は毎月必要になる費用のことです。固定費に含まれる主な項目は、人件費と水道光熱費、家賃などになります。固定費は基本的に大きな変動はないため、ひと月〇〇万円と定額で計上しましょう。
人件費はスタッフの給料によって変わってきます。たとえば、月給30万円の看護師2人と月給20万円の医療事務2人を雇うと、毎月の人件費は100万円です。水道光熱費もそれほど大きな変動はないので、大まかな額を資金計画に入れておきましょう。
1ヶ月あたりの売上見込みから、変動費や固定費を差し引いた金額がクリニックの利益になります。変動費や固定費に加え、医師自身の毎月の生活費やローンの返済費用、毎年必要な税金も差し引いておかなければなりません。
仮に計算して利益が出ない見込みになってしまうと、金融機関から融資を受けるのは難しいでしょう。実際に利益を出すためには、一日何人の来院が必要なのかを逆算することも大切です。
融資を受けるためには事業計画書以外にも、さまざまな書類が必要です。主に必要な書類としては、下記が挙げられます。
スムーズに融資を受けるためにも、事前に上記の書類を揃えておくようにしましょう。他に必要な書類がある場合もあるので、事前に金融機関に確認しておくことがポイントです。
クリニック開業に必要な事業計画書について、必要な項目や作成時の注意点を解説してきました。クリニック開業資金の融資を受けるためだけでなく、クリニック全体の指針を決めるという点でも事業計画書の作成は重要です。
ポイントを押さえながら、最適な事業計画書を作成していきましょう。なお、事業計画書の作成時には、開業コンサルタントや税理士に同席してもらうことがおすすめです。プロのアドバイスを取り入れることで、ベストな事業計画書の作成が実現できるでしょう。
現在、上記のようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひとも私たち「2ndLabo」にご相談ください。開業に必要な情報をまとめた業界最大級の独自データベースとコンシェルジュの知見で開業準備、そして開業成功に向け伴走いたします。
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