開業時に労働基準監督署で必要な手続きは?開業後に駆け込まれた時の対処まで

更新日 2023.11.15
投稿者:豊田 裕史

開業時はさまざまな手続きが必要になりますが、従業員を雇う場合は労災保険の手続きなども行わなければなりません。
また、開業後に従業員に労働基準監督署に駆け込まれた際は、しっかりと対応する必要があります。

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目次

開業にあたり労働基準監督署で労災保険の手続きを行う必要がある

ここでは、開業時における労働基準監督署の労災保険の手続きについて解説していきます。

  • 保険料は全額事業者負担
  • 事業主は労災保険に加入できない
  • 労災保険の届出種類は2つ

保険料は全額事業者負担

保険料は全額、事業者が負担しなければなりません。これは、事業者は、従業員に対して災害の補償責任があるためです。

労災保険の保険料は業種によって保険率が異なり、従業員の給与に対して発生します。

事業主は労災保険に加入できない

事業主は、基本的に労災保険には加入できません。なぜなら、労災保険は従業員を対象にしているためです。

ただし、業種によっては特別加入制度を利用して利用できます。 特別加入制度とは、一定の要件を満たしている事業主を対象に、特別に労災保険への加入を認める制度です。

労災保険の届出種類は2つ

労災保険に加入する上では、以下の2つの書類が必要です。

  • 保険関係成立届
  • 概算・増加概算・確定保険料申告書

また、上記以外に36協定の締結や適用事業報告もしなければなりません。

①保険関係成立届

保険関係成立届は、開業する際に1人でも雇用するのであれば届出を提出する必要があります。従業員の出勤日数が少なくても提出しなければなりません。

保険関係が成立した日から10日以内に、管轄する労働基準監督署に保険関係成立届を提出します。

保険関係が成立した日というのは、開業日ではなく研修など業務に関わることが発生した日です。

このように、開業日より前に提出しなければならないケースがあるので注意してください。

②概算・増加概算・確定保険料申告書

概算・増加概算・確定保険料申告書は、まず保険関係が成立した日から、その年の年度末までに従業員に支払う賃金総額の見込み額を算出します。

見込み額に、労災保険率と雇用保険率を掛けた額が概算保険料となり、保険関係成立日から50日以内に申告しなければなりません。

③36協定

36(さぶろく)協定とは、労働者が法定労働時間を超えた時間、労働する場合や休日労働する場合に労働者と締結することです。36協定を締結する際は、所轄の労働基準局監督署に届出を提出しなければなりません。

また、2018年6月の改正労働基準法によって、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられています。36協定の届出を提出しない状態で法定労働時間を超えた労働をさせると、労働基準法違反となり罰則が科される可能性があるので覚えておきましょう。

「36協定」には、以下のことを記載する必要があります。

  1. 時間外労働の発生事由
  2. 時間外労働の業務の種類
  3. 時間外労働を行う職員の数
  4. 延長できる労働時間
  5. 「36協定」の有効期間

「5」の36協定の有効期間は、1年間にする場合が多いです。

④適用事業報告

適用事業報告は、労働者を雇ったことを労働基準監督署に報告するためのものです。

1人しか雇っていないとしても、適用事業報告は提出しなければなりません。

提出期限はありませんが、届出が義務付けられているので忘れないようにしましょう。

ハローワークにも届出をする必要がある

ここまで解説してきた書類以外にも、以下の届出をハローワークに提出しなければなりません。

  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険適用事業所設置届

雇用保険適用事業所設置届は、雇い入れた従業員の雇用保険が適用されるために必要な書類です。雇用保険が適用されることで、失業給付や育児休業給付を受給できるようになります。

雇用保険適用事業所設置届は、従業員を雇い入れてから10日以内に管轄するハローワークに届出しましょう。

雇用保険に加入するには、以下の条件を満たしていなければなりません。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 継続して31日以上雇用される見込みのある者がいること

つまり、週2日、1日4時間のパート従業員を2人雇い入れて開業する場合、「1」の条件が満たされていないため雇用保険に加入できないのです。

このような場合は、雇用保険に関係する書類の届出は必要ありません。

雇用保険加入の条件を満たす際に、雇用保険適用事業所設置届を届け出ます。

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届は、提出する際に雇用契約書の写しが必要です。雇用保険は、加入すると被保険者ごとに「雇用保険被保険者番号」が付与されます。

資格取得届には、雇用保険被保険者番号を記載しましょう。もしくは、雇用保険被保険者番号が記載された「雇用保険被保険者証」を添付する必要があります。

あらかじめ従業員に「雇用保険被保険者証」を持っているか確認しておくとスムーズです。

開業後スタッフに労基署に駆け込まれた際の対応も知っておこう

ここでは、開業後スタッフに労基署に駆け込まれた際の対応について解説していきます。

労基署に駆け込まれてすぐの対処法

従業員に労基署に駆け込まれた際の対処法は、状況によって異なります。以下ではケースごとに対処法を解説しますので参考にしてください。

明らかに医院側が悪いケース

明らかに医院側が悪い場合は、事実をしっかりと認めて、支払うべきものがあるのであればすぐに支払いましょう。可能な限り円満に終わるように対応します。

対応をおろそかにすると、今後の医院の運営に影響が出る可能性があるので注意しなければなりません。

医院側、スタッフ側双方の言い分に一理あるケース

双方の言い分に一理ある場合は、お互いが譲歩できる部分、落としどころを探る必要があります。まずはお互いしっかりと話す場を設けるようにしましょう。

このとき、医院側が一方的に話すのではなく、従業員側の話もしっかりと聞くのが大切です。

明らかにスタッフが悪いケース

明らかに従業員が悪い場合は、譲歩する必要はありません。認めるところは認めて、おかしいと思うことはハッキリと伝えてスムーズな解決を図りましょう。

臨検の内容とは

臨検とは、労働基準監督署が事業主に対して以下の法律を遵守しているか確認する調査のことです。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 最低賃金法

主に書類の確認や聞き取り調査などを行います。労働基準監督署からの臨検は、原則断れません。

まとめ

ここまで解説したように、従業員を1人でも雇うのであれば労災保険の手続きを行わなければなりません。また、ハローワークへの届出もしっかりと行いましょう。

開業後は、何かしらの理由で従業員が労働基準監督署に駆け込む可能性もゼロではありません。その場合は、スムーズに対応する必要があります。

労災保険の手続きについて知りたい場合や、従業員が労働基準監督署に駆け込んだ際は、是非、本記事を参考にしてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
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北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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