患者数の増減が医院の収入に大きく影響してくるため、患者数をおさえておくことは重要です。
本記事では、開業医の収入を安定させる理想的な患者数や、来院数が増えない原因、集患のポイントなどを解説します。
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ここでは、開業後の理想的な患者数や経営状況にどう関係するかについてみていきましょう。
医院の開業後、患者数は経営において重要な要素となります。医院の収入は、日々の患者数の変動によって大きく左右されるためです。
患者数を一定に保てば、それが開業医の収入や将来への貯蓄によい影響を及ぼすでしょう。
また、医院の経営状況を安定させるためには、患者様に継続して利用してもらうことが大切です。
内科の場合は、平均単価「5,800円」程度です。
患者様1人あたりの単価は、以下の計算式で求められます。
この計算式を用いることで、患者数が1日あたり1人増えた場合、医院の収入がどの程度増加するかの計算が可能です。
1日あたり1人の患者数が増えるだけで、医院の収入が大幅に増加します。このことから、患者数を増やすことがいかに重要かが理解できるでしょう。
一般的な医院の場合は、「40人」程度が目安といわれています。
1度だけの来院や一時的な来院ではなく、「かかりつけ医」として継続的に利用してもらうことが重要です。
新規患者を集客するためには、ホームページを開設して記事の更新をしたり、広告宣伝費がかかったりします。
一方で、既存の患者様に継続利用してもらうためには、丁寧で適切な診察をして信用度を上げたり、適切な再診を促したりと、院内での対応が可能です。その分、余計なコストをかけずに集患できます。
継続して利用してもらうためには、
などの対策を行いましょう。継続して医院を利用してもらえれば、理想的な患者数の確保ができます。
ここでは、診療科目別で見た場合のクリニックの平均的な1日の外来患者数を紹介します。
前述したとおり、平均的な外来患者数は「40人」が目安です。
平均単価5,800円とし、診療日数22日で月額売上が510.4万円になります。年間にすると、約6,100万円です。
ここから看護師や事務スタッフの給料や家賃などを差し引くと、2,200万円程度が残ります。院長の所得になる「利益」は180万円程度になるでしょう。
十分な利益を確保するためには、1日40人を目安にすることが医院の1つの目標といえます。
平均的な患者数の内科診療所の収支例は、以下のとおりです。
年間では6,100万円程度になります。
ここからスタッフの給料や家賃、その他費用の合計が約4,000万円かかれば、2,000万円程度が残ります。
さらに、借入金返済や納税なども考慮しなければなりません。これらを差し引くと手元に残るお金は2,000万円よりも少ない金額になります。
1日あたりの患者数を40人確保できれば、開業医の平均年収を得られます。
厚生労働省が2019年に公表した「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」によると、医院の経費は1年あたり約3,980万円程度になっています。これには人件費や医薬品費などが含まれます。
前章で解説したように年間売上例が6,100万円程度の場合、上記の経費を差し引くと、開業医の年収は2,000万円程度です。
このことから、1日の患者数40人は最低限確保しておきたい数字といえるでしょう。
開業後に患者数が増えなくなる原因は、以下の2つが考えられます。
患者数の増減は、医院の経営状況を左右する重大な問題です。ここでは、それぞれの原因と対策について解説します。
まず考えられるのが、医院の立地が悪いことが原因で患者数が増えないことです。
医院の外観を綺麗にし、医療機器を充実させていても、開業した立地が悪ければ患者数は増えません。
例えば、エリア内に同じ診療科が多ければ患者数が分散してしまい、思うような集患が望めないでしょう。
開業地の選定には、エリアの人口や人の動き、人口構成、交通機関、競合医院の数などをしっかりと調査しておくべきです。
その上で、以下の項目にあてはまるか見てみてください。
上記の項目にあてはまる立地であれば、ある程度の患者数は見込めます。開業後に立地を変えることは難しいため、事前に徹底した調査が必要です。
好立地の場所で医院を開業しても患者数が増えない場合は、広告活動がうまくいっていない可能性があります。
広告の種類はさまざまありますが、インターネットと紙媒体の両方を活用すると効率的です。
まずは医院のホームページを開設し、内容を充実させましょう。ホームページの内容とは、院長のコラムや患者様の悩みを解決するような記事を継続的に更新していくことです。
インターネットが普及した現代では、多くの患者様が医院選びの際にホームページをチェックします。
ホームページが充実していれば、患者様に信頼感を与え、来院するきっかけになるでしょう。
患者数が増えない場合は、広告活動の見直しを行ってみてください。
ここでは、どのような広告手法があるのか、広告・マーケティング活動の正しい考え方を解説します。
医院開業後の患者数を増やすためには、効果的な広告活動が大切です。以下では、患者数を増やすために有効な広告手法を紹介します。
駅などに設置する看板に医院の情報を載せることができます。近年ではLEDビジョンを利用したデジタルサイネージが看板として利用されている例も多いです。デジタルサイネージにカメラを設置し、広告視聴数をリアルタイムで把握することもできるなど、高い広告効果を期待できる手法になっています。
地域密着型の医院では、昔から活用されている手法の一つです。潜在患者にうまく訴求できれば集患につながります。ただし、チラシやDMは「見られない」「読まれない」ことが多いため、医院の情報をわかりやすく掲載して捨てられない対策が大切です。
MEO対策とは、Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略称で、Googleマップで上位表示を目指すための対策を指します。病院やクリニックを探す際に、Googleマップを使って検索する方も多いです。ユーザーが地図検索する際、その地域と業種に絞り込んだキーワードで検索するため、クリック率が非常に高いのです。MEO対策を実施して結果反映までの時間が比較的短いため、集患の効果も体感しやすいのが魅力といえます。
SEO対策とは、Search Engine Optimizationの略称で、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示させる対策のことです。自院のホームページが上位表示されると、集患・増患の期待ができます。ただし、近年は上位表示する難易度が上がっていたり、医療広告ガイドラインの範囲内での運用が重要であったりするので、医療領域で実績のあるSEO会社に依頼することが大切です。
X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSも広告・マーケティング活動でおさえておきたいポイントの一つです。高額な広告費用を使わなくても集患できる点が大きなメリットといえます。また、看板やチラシなどの広告だけではリーチできない層に情報を届けられます。「競合医院との差別化を図りたい」「医院の認知度を上げたい」「SNSを使っているスタッフがいる」などに当てはまる医院におすすめです。
最近ではネット上にある口コミサイトや、Googleマップ上での口コミなどを参考に来院する患者様も増えています。口コミの影響力は非常に強く、良い口コミが多ければ、それだけ信用できる医院として認知されます。しかし、逆に言えば悪い口コミが多ければ、患者数が増えない原因にもなりえるでしょう。普段から、自院がどう見られているかを意識しながら患者様と接するのが大切です。
医院によって、どの広告・マーケティング活動が効果的なのかは異なります。上記の広告・マーケティング活動を効果検証しながら、どこにどれだけリソースを割くかどうかの判断をするのが重要といえるでしょう。
患者様に再来してもらうためには、一人ひとりの患者様に真摯に向き合って診療することです。
「当たり前のことだ」と思われるかもしれませんが、病院やクリニックの口コミを見てみると、
などが散見されます。
医師だけでなく、看護師や受付スタッフにも丁寧な対応が求められているのです。患者様の満足度は、診療内容や医師とのコミュニケーションだけでなく、医院全体の体験が影響します。
そのため、患者様一人ひとりを大切に診療することが再来院や増患につながるでしょう。
医院開業後の経営を安定させるために理想的な患者数は、1日あたり「40人」が目安です。1日あたり40人の患者数を確保できれば、開業医の平均年収2,000万円台を得られる計算になります。
患者数の増減は、今後の経営状況を左右する重要な要素といえるでしょう。
開業後に患者数が増えない場合は、「医院の立地が悪い」「広告活動がうまくいっていない」などが考えられます。
患者数を増やすためには、患者様一人ひとりを大切に診療し、継続して来院してもらうことが重要です。
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