医療法人におすすめの保険は?節税効果や見直しポイントを解説

更新日 2024.04.30
投稿者:豊田 裕史

医療法人化に伴い、法人契約で保険に加入することを検討している先生も多いかと思います。医療法人が保険に加入すれば、節税効果や経営リスクに備えることが可能です。

本記事では、医療法人におすすめの保険の紹介から、保険加入のメリット、保険見直しポイントまでを徹底解説します。

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目次

医療法人化する際の保険見直しポイント

医療法人化を進める中で、意外と抜けがちなのが保険の見直しです。保険業界や税制などが変わっている場合もあるため、状況に合わせた見直しが大切です。

ここでは、医療法人化する際の保険見直しポイントを3つ解説します。

火災保険の名義変更を行う

まずは火災保険の名義変更を行いましょう。

火災保険の名義変更が必要になる場合は、以下の2パターンに分けられます。

  • 建物の持ち主が変更された場合
  • 契約者の名前が変更された場合

個人事業主の場合は、クリニックの所有者である先生名義になっています。

しかし、医療法人化すると、所有者が先生個人から医療法人に切り替わるため、火災保険の名義も変更しなければならないのです。

火災保険の名義変更をせずに放置していると、いざ保険金を受け取る際にトラブルになる可能性があるため注意しましょう。

法人が引き継いだ負債に対する死亡保障

法人化するときに、金融機関からお金を借りるなどして負債がある場合は要注意です。

金融機関からお金を借りる際、借入対策保障である団体信用生命保険に加入します。しかし法人化すると、借入対策保障に加入することができないのです。

そのため、法人化する時に負債が残っていて、法人に引き継いだ負債がある場合は、団体信用生命保険とは別の保険に加入する必要があります。

クリニックやご家族が負債を抱えないように対策しておきましょう。

事業保障

万が一、先生が医院を経営できない状況になっても、医療法人は存続します。

閉院しようとしても、ある程度の時間が必要です。同じく誰かに法人を継承する場合も時間がかかります。

そのため、閉院や継承する場合の費用は生命保険で補いましょう。

医療法人向け保険のメリット

ここでは、医療法人向け保険に加入するメリットと医療法人化するメリットを解説します。

医療法人の生命保険は経費にできる場合がある

個人加入の生命保険の保険料は経費になりませんが、医療法人契約の場合は、法人の経費にできます。

さらに、所得税の生命保険料控除のように上限がないため、節税効果も高くなるのです。

また、貯蓄性のある生命保険に加入すれば、保険料を経費にしながら貯蓄していくこともできます。

ただし、無理な節税は税務否認のリスクがあることを考慮すべきです。保険料の負担により、財務状態を悪化させるのは本末転倒といえます。

節税する際は税理士と相談して、適切に行うことが大切です。

経営のリスクに備えられる

医療法人向け保険に加入するメリットは、さまざまな経営のリスクに備えられる点です。

例えば、以下のようなリスクに対して備えられます。

  • 就労不能のリスク
  • 災害時のリスク
  • 休診時のリスク
  • 事業失敗のリスク
  • 医療事故・訴訟のリスク

医療法人が保険に加入することで、これらのリスクを回避できるのです。

家族にも役員報酬を支払える

家族を医療法人の役員にすることで、家族にも役員報酬を支払えるようになります。

給与を院長や理事長1人に集中すると、課税額が大きくなります。しかし、家族で分散して報酬を得ることで、税金の合計額を抑えられるのです。

医療法人だからできる節税テクニックといえるでしょう。

経営者に退職金を支払える

個人事業で医院経営すると、退職金を支給できません。しかし、医療法人化することで、代表者に退職金を支払えるようになります。

また、生命保険に加入していれば、保険料のうち全額、または半額を医療法人の経費から支払うことが可能です。保険料の支払い額以上の退職金を得られるケースもあります。

ただし、保険の種類や税法の変更などによっても異なる場合があるため、日々の情報収集が大切です。保険の種類については後述しています。

医療法人で生命保険を契約した場合の節税効果と保険の種類

前述したように、医療法人で生命保険を契約した場合の大きなメリットは節税効果です。

個人が生命保険に加入すると、所得税の生命保険料控除の額は最大12万円と決まっています。しかし、医療法人の場合は加入する保険契約や内容により、支払った生命保険料の「全額」「1/2」「1/4」といった一定金額を経費にできるのです。

ここでは、生命保険の種類について解説します。

全額損金の定期保険

全額損金の定期保険は、支払った保険料を「全額」経費にすることが可能です。全額を損金に計上することから、全損ともいいます。

全額損金は、法人税負担を抑える代わりに、解約返戻金が少なめに設定されているのが特徴です。

全額損金の定期保険に入る際は、解約返戻金を多く受け取れるタイミングを見極めるのが大切です。

最近では、死亡保険金を受け取れる条件を限定する代わりに、解約返戻金を高めに設定している生命保険もあります。

そのため、全額損金の定期保険の被験者を若い社員にし、経営者の退職金を準備することに向いています。

注意点として、全額保険の場合は解約返戻金が全額、益金に算入するということです。法人税負担が少なくなったとしても、手元に残るお金が少なくなれば加入した意味がないでしょう。

とはいえ、定期保険の解約と同じタイミングで解約返戻金の額以上を損金に算入すれば、大きな節税効果が期待できます。

将来的に多額の支出が確実に必要だとわかっていれば、全額損金の定期保険はおすすめです。

1/2損金の逓増定期保険

逓増定期保険とは、保険金額が段階的に増加していくタイプの定期保険です。

万が一経営者に何か起こった際や、法人が経営危機に陥った時のための資金確保に備えられます。

1/2損金の逓増定期保険は年齢制限がなく、設定できる保険料にも制限がありません。また、全額損金に比べて解約返戻率は高めに設定されています。

10年くらい90%以上をキープする逓増定期保険もあるため、全額損金のものと比較すると、利用しやすいといえるでしょう。

ただし、逓増定期保険は返戻率のピークを過ぎると1年ごとに10%前後返戻率が減っていきます。

そのため、1/2損金の逓増定期保険は、10年前後という比較的短期間を目安にして退職金を積み立てることなどに向いているでしょう。

1/3損金の逓増定期保険

1/3損金の逓増定期保険は、前述した1/2損金の逓増定期保険よりも解約返戻金が高いのが特徴です。さらに、返戻率100%を超える期間が10〜25年後と非常に長くなります。

退職金の積み立てや長期の資産形成に向いている保険といえるでしょう。

しかし、資産の2/3は資産計上になるため、節税向きではなくなる点には注意が必要です。順調に利益を伸ばしていて、節税したい場合には向かないといえます。

まとめ

本記事では、医療法人におすすめの保険の種類や、保険見直しポイントなどを解説してきました。

医療法人化の手続きは提出書類が多く、時間や手間がかかります。火災保険の名義変更や法人が引き継いだ負債に対する死亡保障、事業保障など、見直すべき項目が多いです。

そのままにしてしまうと、保険金を受け取る際にトラブルになる可能性もあるため注意しましょう。

また、個人加入の生命保険の保険料は経費にはなりませんが、法人加入の生命保険の保険料は経費にできる場合があります。

生命保険の加入は医療法人にとってメリットも多いです。本記事の内容を参考に、自院に本当に必要かどうかをしっかり検討してみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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