産婦人科は儲かる?気になる開業資金や開業のデメリットまで

更新日 2023.10.31
投稿者:豊田 裕史

産婦人科クリニックの開業を検討している方のなかには、儲かるのか気になる方も多いでしょう。産婦人科クリニックは、他の診療科目と比較すると平均年収が高い金額となっています。しかし、成功させるためには競合との差別化やコンセプト作りが重要です。

今回の記事では、産婦人科クリニックの開業資金や開業のメリット・デメリット、成功させるポイントまで解説していきますので参考にしてみてください。

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目次

産婦人科クリニック開業に成功した場合の収入・年収のイメージ

ここでは、産婦人科クリニック開業に成功した場合の収入・年収のイメージを表にして紹介します。

収益
医業収益 約1億800万円
介護収益 0円
経費
人件費 約2663万円
医薬品費 約2259万円
その他 約3579万円
産婦人科クリニックの収入(収益−経費)=約2299万円

出典:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

産婦人科クリニックの開業資金・自己資金はどれくらい?

いざ産婦人科クリニックを開業しようと思っても、開業資金はどれくらい必要なのか、資金面の不安がある方は多いでしょう。産婦人科クリニックを開業するにあたっての開業資金の目安は、以下の通りです。

土地・建物の購入費 約3,000万円~
医療機器などの設備購入費 約2,000万円

土地を購入して戸建てで開業するのか、もしくはテナントに入るのかで必要な資金は異なります。また、都心か地方かでも資金に差があるので、事前にどのくらいの資金が必要なのか把握しておくようにしましょう。

開業資金に加えて、広告費や薬剤費・人件費などの運転資金も必要になることも頭に入れておかなければなりません。
では実際、自己資金はいくら必要なのでしょうか。以下では、産婦人科クリニックの開業に必要な自己資金や資金調達方法について解説していきます。

自己資金はいくらくらい準備すればいいの?

開業資金を、全額自己資金でまかなえる方は少ないです。そのため、多くの人は開業の際に銀行などの金融機関から融資を受けます。
自己資金が多いに越したことはありませんが、運用資金も確保することを考えると、全額自己資金でまかなうのは現実的ではありません。

目安としては、借入額の返済や利息の負担を軽減するために、開業資金の総額の1~2割程度の自己資金があるといいでしょう。

とはいえ、自己資金が全くなくても開業は可能です。しかし、全額借入れるわけなので、それなりのリスクがあることは理解しておかなければなりません。

開業資金の資金調達方法とポイント

開業資金の調達方法は、「自己資金を用意する」もしくは「融資を受ける」の2通りです。

自己資金を用意する場合は、主に以下の方法があります。

  • 自分の貯蓄額を増やす
  • 家族・親族などからの援助

ただし、家族や親族から援助してもらう際は、金額に注意しましょう。金額によっては贈与として扱われ、贈与税が発生します。

融資を受ける場合は、以下の4機関を利用することが可能です。

  • 日本政策金融公庫
  • 独立行政法人福祉医療機構
  • 民間金融機関
  • リース会社

それぞれ融資限度額や金利が異なるため、自身の状況を考慮して検討しましょう。

産婦人科医が開業するメリット

産婦人科医が開業するメリットは、主に以下の3点です。

  • 高収入を得られる可能性がある|産婦人科は儲かるの?
  • 自分の理想とする診療スタイルを実現できる
  • 地域社会への貢献度が高い

高収入を得られる可能性がある|産婦人科は儲かるの?

先述したように、第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告によると、産婦人科の収入は約2,299万円です。
産婦人科クリニックは、不妊治療の保険適用が始まったこともあり、需要が高くなっています。すべての診療科目の中でも上位の収入となっているため、儲かるといえるでしょう。

また、産婦人科と美容皮膚科を組み合わせて収益を向上させたケースや、オンライン診療に対応することで売上がアップした例があります。
このように、産婦人科はそもそも儲かる診療科目ですが、他の要素と組み合わせることでさらに収入をアップさせることが可能です。

自分の理想とする診療スタイルを実現できる

産婦人科として開業することで、勤務医時代にはできなかった自分の理想とする診療スタイルを実現可能です。開業する場合、診療範囲や形態は自分で決まることができます。そのため、勤務医より自由度が高いです。

地域社会への貢献度が高い

産婦人科は地域になくてはならない者であり、地域社会への貢献度が高いです。一般的な診療だけではなく、不妊治療にも対応すれば、不妊で悩む地域の方の力になることもできるでしょう。不妊治療に関しては、保険適用されるので需要も高いです。

産婦人科医が開業するデメリット(難しさ)

産婦人科医が開業するデメリットは、以下の4点です。

  • 訴訟リスクや医療事故の責任の重さ
  • 開業資金や経費が高額になりやすい
  • 競合との差別化が難しい
  • 患者層の性別・年代が限定される

訴訟リスクや医療事故の責任の重さ

産婦人科医は収入が高いですが、一方で訴訟リスクが高く、医療事故の責任が重いです。妊娠・出産には大きな期待がかかりますが、もし妊婦や赤ちゃんにトラブルが起きた際は、逸失利益が大きいため産婦人科の訴訟リスクが高くなっています。

開業資金や経費が高額になりやすい

たとえば、妊婦が入院する際、できる限り快適な環境で過ごしたいという方は多いです。しかし、そのニーズに応えるとなると、内装費用が高額になります。

なかには高級ホテルのような内装にしているクリニックもありますが、こだわりすぎると開業資金が高額になるので、慎重に検討しなければなりません。設備に関しても、最新のものをすべて揃えると費用がかさみます。

競合との差別化が難しい

男性医師の場合、競合との差別化は難しいでしょう。そのため、集患・売上増のために工夫が必要です。

一方、女性医師の場合は、それだけで差別化になります。産婦人科は女性医師が好まれる傾向にあり、需要が高いため、ホームページに女性医師であることを記載すれば、患者が集まりやすいでしょう。

患者層の性別・年代が限定される

内科や外科の場合、性別や年齢に関係なく集患できますが、産婦人科の患者の性別は女性で、年齢層も限定されてしまいます。そのため、需要が高いエリアで開業しなければ集患が難しいです。
産婦人科を開業する際は、診療圏調査やマーケティングを入念に行った上で開業するのがポイントになるでしょう。

産婦人科医が開業を成功させるためのポイント

産婦人科が開業を成功させるためのポイントは以下の3点です。

  • 女性に寄り添ったコンセプトを立てる
  • プライバシーに配慮した内装にする
  • 多角的なマーケティングを行う

女性に寄り添ったコンセプトを立てる

産婦人科クリニックで大事なのは「女性の気持ちに寄り添うこと」です。産婦人科クリニックに音擦れる患者の多くは、不妊や分娩前、女性特有の病気など、デリケートな問題を抱えています。そのため、神経質になりやすい傾向にあり、産婦人科クリニックはこのような患者に寄り添う必要があるのです。

患者がリラックスできる空間作りを心がけ、安心感がある産婦人科クリニックを目指しましょう。
トイレやパウダールームを清潔な状態に保ち、アメニティも充実させることで、ホスピタリティの高いクリニックという印象を持ってもらえます。

プライバシーに配慮した内装にする

産婦人科クリニックは、他の診療科よりもプライバシーに配慮しなければなりません。たとえば、外から待合室が見えないようにしたり、待合室の椅子を患者同士が向き合わないようにしたりなど、細かな配慮が必要です。
また、診察室と内診室は防音・密閉にし、付き添いの男性が立ち入るエリアも限定したほうがいいでしょう。

クリニックの内装の基本についてはクリニックの内装の基本を解説|設計時の注意点やおすすめ業者まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

多角的なマーケティングを行う

産婦人科クリニックを開業するにあたっては、診療圏調査やマーケティングが非常に重要です。これには時間と手間がかかりますが、いかに入念に調査するかで、開業後の集患・売上の状況が変わってきます。
調査を疎かにして需要が低いエリアで開業してしまったら、経営は難しくなるでしょう。

産婦人科クリニックで収益をあげるための考え方

産婦人科クリニックは差別化が難しいですが、以下のような施策を行うことで競合と差別化できるでしょう。

  • 不妊治療を実施する
  • オンライン診療を実施する
  • 土日祝日も診療する

不妊治療を実施する

不妊治療を実施することで、集患・売上増が期待できるでしょう。近年は、保険適用が始まったこともあり不妊治療のニーズが高く、不妊治療専門クリニックが増えてきています。産婦人科としての一般的な診療と不妊治療に対応することで、幅広いニーズに応えることが可能です。

オンライン診療を実施する

オンライン診療に対応し、ピルや緊急避妊薬の処方を行うことで、クリニックの需要を広げることが可能です。オンライン診療はクリニックに足を運ぶ必要がないため、遠方の患者にも対応でき、集患・売上増につなげられます。

土日祝日も診療する

単純に診療日を増やすのも有効です。平日だけではなく土日祝日も診療を行うことで、需要を拡大できます。患者の中には、平日は仕事で土日が休みという方も少なくないです。

とはいえ、平日・土日祝日すべてフルで働くのは現実的ではありません。曜日を限定して「午前のみ」「午後のみ」といったように、調整するのがおすすめです。

出産費用に保険が適用されるかも?

2026年を目処に、出産費用が保険適用されるかもしれません。
産婦人科クリニックの開業に直接の関係はありませんが、産婦人科で開業を考えるなら知っておくべき話題なので以下で解説していきます。

通常の出産は公的医療保険の適用外

通常の出産は、公的医療保険の適用外です。そのため、実費が請求されます。
「公益社団法人 国民健康保険中央会」が公開している「正常分娩分の平均的な出産費用について」によると、平成28年度の正常分娩の平均出産費用は50万5,759円です。
出産費用は病院の場合は高く、診療所や助産所は比較的安い傾向にあります。

出典:公益社団法人 国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について」

2026年度を目途に出産費用が保険適用される?

厚生労働省は、2026年を目処に出産費用を保険適用する議論を進めているようです。これは、2023年4月に始まった「出産育児一時金」の引き上げと、2024年4月を目処に始める予定の出産費用の公表制度の効果を見極めて検討されます。

とはいえ、現状は確定していないので、その可能性があるということだけ頭に入れておくといいでしょう。

まとめ

ここまで解説してきたように、産婦人科クリニックの開業は儲かると言えます。しかし、成功させるためには競合との差別化やコンセプトが重要で、何より女性の気持ちに寄り添うことが大切です。また、開業資金が高額になりがちなので、そのあたりも慎重に検討しなければなりません。

産婦人科クリニックの開業を考えている方は、今回の記事の内容を参考にしてみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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