※本記事は2023年10月時点での情報にもとづき執筆いたしました。
独立し、クリニック開業を検討するにあたり、上記のような不安・疑問をお持ちではないでしょうか。昨今、クリニックを”開業”することはそれほど難しくありません。ある程度、最低限の資金さえあれば開業コンサルタントに依頼して、あとは言われた通りにタスクをこなしていれば、自分のクリニックを開業することは可能です。
ただしクリニックを開業することと「クリニック開業を成功」させることは全く違うことです。
当サイトでは、「クリニック開業成功」を以下のように定義づけています。
決して収益が出ることだけが、成功ではありません。先生が実現したい未来を、開業という”手段”で実現すること、それが「開業の成功」であると考えています。この記事では、クリニックを開業するまでの「スケジュール」「やるべきこと」を明確にしたうえで各ステップで「必ずおさえておきたい注意点・ポイント」をまとめました。
開業準備期間はクリニック成功を左右させる非常に大切な期間です。ただ開業コンサルタントのいいなりになるのではなく、自分が実現したい「クリニック像」「未来像」を根底に置きましょう。そのうえで、本記事で解説する各ステップの注意点を頭に入れて準備を進めていきましょう。
現在、上記のようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひとも私たち「2ndLabo」にご相談ください。開業に必要な情報をまとめた業界最大級の独自データベースとコンシェルジュの知見で開業準備、そして開業成功に向け伴走いたします。
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目次
東京商工リサーチの調査によると、2003年~2022年の年間平均倒産クリニック数は16.05件/年でした。日本全国でクリニック件数は103,071件あるので、倒産率はわずか0.015%です。一般企業の倒産率が0.25%なので、クリニックが倒産する確率は極めて低いといえます。
このように、一般的には失敗率が低い=成功率が高いクリニックの開業ですが、やはり入念な準備を怠ると経営不振に陥り倒産してしまうというケースもあります。創業時に借り入れも行うので倒産した場合のダメージは非常に大きいです。
この記事を参考にしっかりと準備を進めていきましょう!
クリニックを開業するまでのスケジュール例を表にまとめました。クリニック開業の準備は遅くとも、半年以上前から始めるようにしましょう。
ここからは、クリニックを開業するまでに、どのような手順を踏めば良いかを解説します。詳細に計画を練ることはもちろん、ゴール地点を明確にしておくことが大切です。
クリニック開業の9~7ヶ月前にやることは下記の通りです。それぞれ解説していきます。
そもそも、なぜ開業したいのかを明確にしておくことが重要です。開業することにはメリットだけでなく、大きなリスクも伴います。
開業する前にはリスクをしっかり把握した上で、自分の医院をもつ決断をするようにしましょう。
開業をする最初の段階で、経営戦略を固めておくことがとても重要です。
などについて事前に決めておきましょう。開業のコンセプトを明確にしておくことで、初期コストを抑え、安定した経営にすることができます。頭の中のイメージや考えを紙に書き出し、整理すると良いでしょう。
開業コンサルは、前述した開業前のコンセプトや経営戦略などを策定してもらえます。具体的な事業計画や人材計画、医院の宣伝戦略から開業後のサポートまで、不安を抱えてしまう点を網羅してアシストしてくれるでしょう。
開業後も業務改善を中心としたアドバイスから、黒字化に向けての経営分析まで幅広いサポートが受けられる点も安心です。最終的な意思決定までをしっかりとマネジメントをしてもらえるので、非常に心強い存在となるでしょう。
クリニックの開業コンサルについてはクリニックの開業コンサル14選|コンサル会社の選び方も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
開業場所を探すには、医院のコンセプト(近隣のクリニックの状況や診療科目)と照らし合わせて、慎重に決めましょう。クリニックの立地は経営の難易度を大きく左右する重要ポイントです。診療圏調査をよく行い、慎重に検討するようにしましょう。
都市部であれば、固定費の高さを覚悟しておく必要があります。都市部は競合のクリニックも多く、これから開業するには厳しい状況なので、専門性を高さで差別化し、しっかりとコンセプトを固めておくことが重要です。郊外での開業は、都市部に比べて比較的集客がしやすい傾向にあります。開業場所の地域性を理解し、よくリサーチは行うようにしましょう。
注意点としては、地域の人が通いやすい立地を考えることです。場所によっては車が通れず、遠回りしなければならない場所なども郊外であればよくあり得ます。それぞれの地域性をよく理解することが大切です。
開業場所・物件探しに大切なポイントについて、それぞれ解説していきます。
診療圏調査とは、その場所で開業した際に、推定の外来患者数がどれくらいになるのかを調査するものです。開業場所を決めるために、診療圏調査を行います。診療圏調査では主に以下の流れで調べます。
①診療圏を設定する | まずは開業地を中心として、診療圏を設定します。診療科目や都市部か郊外かによって適切な診療圏の広さは異なる点もおさえておきましょう。 |
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②競合クリニックを洗い出し、地図上にメモする | つづいて、診療圏が重なる競合クリニックを洗い出し、地図上にメモしていきましょう。競合クリニックの数が多いと、その分患者さんが他に流れる可能性が高くなるので、診療圏調査結果に影響します。 |
③診療圏の人口を把握する | 統計情報を活用し、診療圏内の人口を把握しましょう。昼間人口と夜間人口で大きく差がある場合があるので、オフィス街などは昼間人口を活用することが大切です。 |
④患者数を算出する | 推定患者数を以下の基本式に基づき算出しましょう。 診療圏人口×受療率÷(科目別競合数+1)=推定患者数 ただし、あくまで大まかな推定値しか導き出せないので、調査会社に依頼しより細かく調査するのが基本です。 |
⑤余裕があれば診療圏の今後の発展性も調査する | 地域開発情報など、診療圏の今後の発展性も調査しておくと、より参考になるデータが求められるでしょう。 |
クリニックを開業する物件は、主に以下の通りです。診療コンセプトにあった物件を選びましょう。
医療モール | 医療モールとは、さまざまな診療科のクリニックが、1か所に集まって運営する形態です。患者さんが集まりやすいなど、経営面・診療面からメリットの多い開業形態です。 |
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一般のテナント物件 | 一般的なテナント物件を使って開業するクリニックは多いです。クリニック開業は医療機器の設置などがあり、要件が少し特殊なので、電力容量や搬入経路など事前にチェックしておく必要があります。 |
商業施設のテナント物件 | つづいて、診療圏が重なる競合クリニックを洗い出し、地図上にメモしていきましょう。競合クリニックの数が多いと、その分患者さんが他に流れる可能性が高くなるので、診療圏調査結果に影響します。 |
戸建て物件 | 戸建てで開業するドクターも一定数いらっしゃいます。間取りや外観を自分の希望で選べる点が魅力です。 |
継承物件 | 引退する院長先生などから、物件を継承して開業するケースもあります。医療機器やその他の設備が残った状態で開業できるので、開業にかかるコストを抑えられます。 |
居ぬき物件 | ほとんどケースとしてありませんが、居ぬき物件でクリニックを開業するケースもあります。居ぬき物件はコスト的なメリットが多いですが、ほとんど市場に出回っていません。 |
医療ビレッジ | 医療ビレッジとは、戸建てクリニックが1ヵ所に集まったタイプを指します。駐車場など他のクリニックと共有できます。 |
医療ビル | 医療ビルとは、テナントがすべて医療機関(クリニック・薬局)のビルを指します。医療機関を前提とした設計となっており、患者やスタッフが使いやすい点が特長です。 |
クリニック開業時の物件選定についてはクリニック開業時の立地の選び方|失敗しないポイントや物件の選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
保健所に対して各種申請を行うのは、クリニック開業直前ですが、事前協議で医院の名称や診療科目を決めておくことが必要です(後から変更可能)。以下は開業前に必要な主な手続きリストです。
また、内装工事の前に許可申請書の提出や申請料金を提出する必要があります。許可申請時には下記の書類も同時に提出を求められます。
その他、クリニック開業前に必要な手続き一覧を以下のリストにまとめました。
クリニック開業に必要な主な手続きリスト
内容 | タイミング※ |
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保健所・事前相談 | 9~7ヶ月前 |
消防署・事前相談 | 9~7ヶ月前 |
医師会・ご挨拶※加入する場合 | 9~7ヶ月前 |
防火管理責任者資格の取得 | 1~4ヶ月前 |
保健所・開設許可申請 | 1~4ヶ月前 |
厚生局・保険医療機関指定申請 | 1ヶ月前が多い(管轄の厚生局によるので事前に問い合わせておく) |
保健所・開設届 | 開業後10日以内 |
※タイミングはあくまでも目安です。
クリニック開業に必要な手続きについてはクリニック開業に必要な申請・手続きをわかりやすく解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医師会への加入を希望している場合は、このタイミングで相談を行っておくとよいでしょう。各種アドバイス(開業場所やコツなど)をもらえる場合があるので、加入するかどうかに関わらず一度訪れておくことをおすすめいたします。加入条件や入会金の確認は事前相談のタイミングで行っておきましょう。
クリニックを開業する場合、以下の通り多額の資金が必要になるため、自己資金で賄えるという方はほとんどいません。基本的に融資による資金調達を行う必要があります。
また、自己資金額は、どの診療科を開業するかによって異なります。資金は多いほうがもちろん良いですが、自己資金がなくてもクリニックの開業は可能です。
金融機関に必要な融資を受けるためには、趣意書の作成と、綿密な事業計画の作成が重要になります。
趣意書は、医師になった理由・開業を決意した理由となぜその場所で医院を開くのか、開業後どのようなサービスを提供するのかなどを記したものです。金融機関の担当者に好印象となるように心がけましょう。また、事業計画も詳細に記すことで、より好条件の融資が受けられる可能性が高くなります。
世界的な半導体不足の影響もあり、医療機器やレジ(自動精算機)などの設備は納品まで時間がかかるケースが多いので、早めに選定を進めておきましょう。
医療機器選定時の注意事項として、過大装備とならないように気を付けることです。高性能な医療機器を入れたいという気持ちもあるかと思いますが、開業初期は資金に余裕がないというケースもありますので、できるだけ経費は抑えることが大切です。
医療機器への過大な投資は、ありがちな失敗の1つです。安易に業者へ見積もりを依頼せずに、必要な機器を慎重に選ぶようにしましょう。
医療機器の選定は、秘密保持契約を結んだ医療機器業者と相談するとよいです。内装設計をする段階で、機器の配置を考えた設計ができます。ただし、相談する際には金額の交渉はしないようにしましょう。なぜなら、後ほど競争入札で決めていくと安く仕入れることができるからです。医療機器の定価はあまり参考にならず、交渉次第で安く仕入れることが可能です。
広告・マーケティング戦略の検討も開業コンサルタントと話し合いながら、早めのタイミングで検討を進めていきましょう。経営戦略や開業場所にもよりますが、オフライン・オンライン双方を活用した広告活動が必要です。
医院を経営していくためには、集患をしなければなりません。印刷物やチラシを作成して広告を配るのも良いですが、今の時代、ホームページを作成してWEBから集患する方法も効果的だと言えます。
ホームページが検索エンジンで上位表示されるようにするためには、院長の名前やクリニック名、診療時間や場所などを詳細に記入することだけではなく、目を引くデザインで作成することも重要なポイントです。
地域性を考慮して、看板やチラシなどを作成し、新聞の折込チラシやポスティング用の印刷物も作り込みましょう。その際、医療専門の印刷物を取り扱う業者へ依頼するのがおすすめです。デザイン案をいくつかだしてもらい、医院のコンセプトに合わせたものを作成してもらいましょう。
クリニックの主な広告手段一覧
web関係 | ホームページ、各種web広告(リスティング、ディスプレイ、SNS広告、リマケなど)、SEO、MEO、メルマガ、DMなど |
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SNS関係 | SNS運用、Youtubeチャンネル運用など |
看板 | 壁面看板、自立・野立看板、突き出し看板、電柱広告、車内広告、スタンド看板、消火栓広告など |
チラシ | 新聞折込チラシ、ポスティングチラシ、フリーペーパー折込チラシ、同封同梱チラシなど |
院内広告 | フリーマガジン、お知らせ掲示、デジタルサイネージ、チラシ設置など |
地域 | 医師会、地域医療連携、公民館や町内会への挨拶 |
クリニック開業の6~5ヶ月前にやることは下記の通りです。それぞれ解説していきます。
医院の設計・施工が控えているので、物件の契約はこのタイミングで行っておくのがおすすめです。ただし、契約前に下記の事項は確認しておきましょう。
また、事前に保健所との協議や医師会の加入条件確認も済ませたうえで、契約するようにしましょう。
銀行が決定した後は、融資の申込みおよび面談を行います。必要な書類やポイントは下記の通りです。
融資の申込に必要な書類例
医院開業後は、クリニックの利益が院長先生の収入になります。特に開業当初は不安定になる場合が多いので、当面の生活費の確保と、どれくらいかかるのか把握を事前にしておきましょう。
クリニック設計・施工業者の選定もこのタイミングで進めていきましょう。選定にあたって以下のポイントをおさえておきましょう。
医院の内装には、特有のポイントがいくつかあります。業務をする上で、効率よく仕事が行えるような設計を行うことが大切です。医療現場の内装に精通したコンサルタントに頼むことで、使い勝手の良い衛生的な医院をつくることができるでしょう。入念に打ち合わせを行い、医師やスタッフの動線を意識した内装を心がけてください。
クリニックの設計・施工費用の相場は、坪単価で約40万円/坪〜約50万円/坪がひとつの基準と言えます。例えば25坪のクリニックであれば、総額1,000万円〜1,250万円程度はかかると考えておきましょう。
クリニックの設計・施工業者を選定する際は、ひとつの業者だけに見積りをもらうのではなく相見積もりをとることで費用をおさえることができます。
スタッフの採用についても、このタイミングで徐々に検討を進めていく必要があります。この段階ではまず、以下の観点から採用条件を検討していきましょう。
クリニック開業の4ヶ月前にやることは下記の通りです。それぞれ解説していきます。
医療機器の見積りも、この段階でもらっておきましょう。見積りを元に早めの発注を進めていきましょう。相見積もりをとると、相場より安く導入できるケースもあります。
次に、電子カルテや予約システム、WEB問診システム、オンライン診療システム、自動精算機(セルフレジ)など必要なICTツールの導入をします。椅子やテーブルなど什器・備品等の選定、調達を行いましょう。選定する必要があるサービスは多岐にわたりますが、業務効率やランニングコストを考えると慎重に選定する必要があります。
かなりの機器を選定していくことになりますが、面倒と思わずに1つ1つ納得いくものを選んでいきましょう。こういった機器選びを失敗してしまうと、開業後の資金繰りが苦しくなり、後悔してしまうこともあります。
クリニック開業時に必要な設備・備品リスト
カテゴリー | 設備・備品リスト |
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各種設備・ICTツール | 電子カルテ、レセコン、診療予約システム、web問診システム、順番案内システム、再来受付機、レジ/自動精算機、診察券発行機など |
診察室 | 医師と患者が座る椅子、診察机、タイマー、体重計、血圧計、消毒液、手鏡など |
受付・待合室・玄関 | 診察券入れ、つり銭ボックス、時計、シュレッダー、筆記用具、待合室の椅子、加湿空気清浄機、スリッパラック、スリッパ、パーテーション、消毒液、体温計、マガジンラック、シューズラック、ゴミ箱、傘立て、玄関マット、テレビなど |
スタッフルーム / バックヤード | 冷蔵庫、電子レンジ、食器類、ラック、台車、脚立、掃除機、ほうき、モップ、洗剤類、ユニフォーム、名札、ロッカー、タイムレコーダー、テーブル/椅子など |
設計・施工業者と契約を締結しましょう。
スタッフの募集はこのタイミングで開始するのがおすすめです。エリアや条件によりますが、オープニングスタッフは応募が入りやすいので、まずは無料で募集を行い、なかなか集まらないようなら有料求人を使うとよいでしょう。
人材紹介会社を通すと、条件に合った人材を紹介してもらえるメリットはありますが、単価がスタッフ年収の20~30%(100万円~150万円)と高いです。
単価が1/3~1/4で採用できる成果報酬型の求人媒体もありますので、上手く活用することをおすすめします。
この段階で行う広告・マーケティング活動としてはホームページティザーサイトの公開です。ティザーサイトとは、予告サイトのことで商品やサービスの販売前にユーザーに対して情報発信を行うサイトのことです。(参考:ホームページ制作.jp)
クリニックにおいては、地域にいる方々に開業を事前にお知らせする役割を果たします。
警備会社の選定も行っておきましょう。クリニックには高額な医療機器などが設置してあるため、セキュリティ対策が必要です。ALSOK(綜合警備保障株式会社)など、クリニックでの実績が多い警備会社と契約を結びましょう。
ここでは、クリニック開業3ヶ月前にやることとして下記を解説していきます。
工事の着工は、このタイミングになることが多いです。着工のタイミングで着手金の支払いが発生します。(銀行融資の場合、銀行から支払われる)
工事は見積書と一緒に渡された工程表に沿って行われます。随時、工程表にそって進んでいるか確認を行うことが大切です。 また、実際現場に立ってみて、変更したい点が出てくる場合もあるかと思います。早い段階で伝えれば無償で対応いただける場合もありますが、有料となる場合が多いです。週に1~2回くらいは現場に足を運ぶようにしましょう。
工事完了後は、不備がないかや使い勝手をチェックしたうえで、引き渡しとなります。
3ヶ月前くらいにホームページの本サイト公開をするケースが多いです。公開前に下記のチェックを行いましょう。ホームページを動かしてみて、大幅な変更でなければ、無償で対応してもらえるケースも多いです。
ここでは、クリニック開業2ヶ月前にやることとして下記をそれぞれ解説していきます。
このタイミングで運転資金や医療機器・設備購入費の借り入れを行いましょう。
税理士の選定・契約を進めるのもこのタイミングです。税理士は必須で契約をした方が良いでしょう。また、必要に応じて社会保険労務士との契約も進めましょう。煩雑な社会保険の手続きやスタッフとのトラブルの仲裁など非常に頼りになる存在です。
ここでは、クリニック開業1ヶ月前~開業当日までにやることとして下記を解説していきます。
保健所および厚生局にて各種申請・届出を行いましょう。注意点として、申請・届出を行うタイミングで初めて保健所を訪れるのではなく、必ず数ヶ月前のタイミングで事前相談を行っておきましょう。事前相談でクリニック名や診療科目を決めておかなかったことで、開業10日前にクリニック名が使えなくなったというケースもあります。
また、新規開業時に、医療法人とするか個人診療所とするかで手続きの内容が大幅に変わります。
保健所では、開業する前に開業許可申請(管轄保健所指定のタイミングで)の提出、開業後は10日以内に開設届を提出する必要があります。漏れなく行いましょう。
クリニックで保険証を使えるようにするためには、管轄の厚生局に対して保健医療期間指定申請を行う必要があります。書類提出の期限は厚生局によって異なるので、事前に問い合わせておきましょう。
指定が間に合わないと、患者さんが全額自己負担になるので、開業日が後ろ倒しになってしまいます。
医師会に加入する場合は、入会金等を支払い加入しましょう。ちなみに医師会に加入するメリット・デメリットは、以下の通りです。
医師会に加入するメリット
医師会に加入するデメリット
購入した医療機器の搬入を進めましょう。サイズ感など、医療機器の営業担当者とよく確認しておくことで、搬入日当日のトラブルを防ぐことができます。不明点がある場合は早めに問い合わせておきましょう。
開業前にオープニングスタッフを集めて研修・リハーサルを実施しておきましょう。以下の点を中心に研修を進めると良いでしょう。
実際に患者さんが来院して診療を受け、支払いを完了して処方箋を渡すまでのシミュレーションを行いましょう。各スタッフの動きの確認をいろいろなシチュエーションを想定してロールプレイングしておくことが大切です。
メーカーや代理店の担当者に来院してもらい、操作説明を行ってもらいましょう。初めて利用する医療機器であれば、患者さんが来院する前に練習しておきましょう。
医療機器同様に、電子カルテ・レセコンについても操作説明と練習を進めておきましょう。
導入するレジや予約管理システムなどの設備・ITツールにも慣れておきましょう。
スタッフの社会保険・労働保険の手続きを進めましょう。かなり煩雑かつ手間のかかる作業ですので、社会保険労務士に相談しても良いでしょう。
税理士に依頼し、青色申告書を提出しましょう。その他、以下の手続きも必要です。税理士に依頼して進めてもらいましょう。
ホームページの本サイト公開や印刷物(チラシなど)のポスティング開始、看板の設置など進めていきましょう。また、以下についても必要に応じて進めていくと良いでしょう。
ホームページや印刷物にクリニックの電話番号や住所、診察時間など必要な情報が漏れなく記載されているかどうかも公開前にチェックしておきましょう。デザインにはこだわったものの、最重要である情報が盛り込まれていないといったクリニックも意外と多いです。
以下より、未購入の備品を購入しましょう。
クリニック開業時に必要な設備・備品リスト
カテゴリー | 設備・備品リスト |
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各種設備・ICTツール | 電子カルテ、レセコン、診療予約システム、web問診システム、順番案内システム、再来受付機、レジ/自動精算機、診察券発行機など |
診察室 | 医師と患者が座る椅子、診察机、タイマー、体重計、血圧計、消毒液、手鏡など |
受付・待合室・玄関 | 診察券入れ、つり銭ボックス、時計、シュレッダー、筆記用具、待合室の椅子、加湿空気清浄機、スリッパラック、スリッパ、パーテーション、消毒液、体温計、マガジンラック、シューズラック、ゴミ箱、傘立て、玄関マット、テレビなど |
スタッフルーム / バックヤード | 冷蔵庫、電子レンジ、食器類、ラック、台車、脚立、掃除機、ほうき、モップ、洗剤類、ユニフォーム、名札、ロッカー、タイムレコーダー、テーブル/椅子など |
クリニックを新たにオープンする際には、地域の人たちのクリニックの存在や院内の設備をお披露目する為、内覧会を開催します。
必ず行わなければいけないわけではありませんが、訪れた人にクリニックの強みなどを直接アピールすることができるので、集患には有効な手段だと言えるでしょう。基本的に、診療所はその地域に住む人が患者になるので、PRをする良い機会です。顔を合わせて話すことで、医者への信頼も高まります。
開業初日は、いくらシミュレーションを行ったとしても戸惑うことや忙しさに追われてしまいます。少しでも安心して初日を迎えられるように、細かいことですが、お釣りの現金を用意しておくなど、不足の事態にも備えるようにしましょう。
大切なのは、受付で患者様を待たせないようにすることです。クリニックの第一印象を大切にして、また来てもらえるように気持ちの良い対応を心がけるようにしましょう。開業してからが新たなスタートです。地域に信頼されるクリニックになるよう、開業前から綿密な事業計画を立て、医院経営をしていくことが重要になるでしょう。
ここからは、診療科目別に開業を成功させる為のポイントについてお伝えしていきます。必要な開業資金や、経営していく上で重要な月あたりの収支、院長自身の収入についても解説するので、以下の目次から該当する診療科をご覧ください。
一般内科のみを掲げて開業をするのか、専門的な内科領域も看板の名前に含めて経営していくのかによって戦略は異なってきます。どこまでの患者を受け入れるかを事前に決めておくとよいでしょう。
また、都市部での一般内科のみでの開業は競合が多く、厳しい現状があります。特別な事情がなければ、視野を広げて郊外に目を向けてみると良いでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
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設備 | 約2,000万〜3,500万 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約641万円 |
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介護収益 | 約0万円 |
人件費(院長は含めない) | 約172万円 |
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医療品費 | 約105万円 |
その他 | 約162万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約201万円(年収:約2,424万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
消化器内科は他の診療科に比べて、競合の激しい科です。自己資金があればあるほど、良い設備を導入することができるので、他の医院と差別化することができるでしょう。また、患者から高い信頼を得るには、下腹部内視鏡の腕前が重要です。上部内視鏡だけを標榜し、経営を続けていくには厳しい現状があります。開業資金は約1,000万円で、運転資金や設備資金は合わせると約7,000万円程度必要になるでしょう。
消化器内科の収入はクリニックによって差があります。順調に経営していくことができれば、ひと月あたりの診療報酬は約660万〜1,000万円です。そこから、人件費や医療品費を引いたものが院長の取り分になります。そのため、医療法人化していく場合がほとんどです。
消化器内科クリニックの開業については消化器内科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
現在、呼吸器内科は競合が少なく、開業を考えている専門医にとっては良いタイミングです。コロナ禍が落ち着いてくると、頃合いを見計らい開業をしようとする医師が増えてくるでしょう。
呼吸器内科を訪れる患者は、喘息や息切れの症状の症状を訴え受診することがほとんどです。患者のニーズを踏まえた戦略を立てて、開業することが重要になります。
他の診療科に比べて、循環器内科はすぐに経営を軌道にのせることは難しいです。その為、自己資金は1,000万円くらい用意しておくと、安心して開業することができるでしょう。
循環器内で集患するポイントは、まず地域の人に認知してもらうことです。普段あまり足を運ばない診療科なので、病院名やキャッチコピーを工夫して、患者のわかりやすい表現や症状のキーワードを使うと良いでしょう。
循環器内科クリニックの開業については循環器内科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
糖尿病内科は、管理栄養士と看護師を採用するのが最重要です。開業を考えたときから、職員の採用を念頭に置いて開業準備を進めるようにしましょう。
患者を集める方法として有効なのは、他の病院から外来患者を連れてくる方法です。現在勤務医なのであれば、医局で相談するとよいでしょう。
また、近隣のクリニックへ挨拶をして患者を紹介してもらうこともあります。競合ではあるので、簡単に患者を引き受けることはできませんが、キャパオーバーしている場合には紹介してくれることもあるでしょう。
外科は、同じ患者が継続的に通うことはなかなか難しいので、常に新規の患者に来院してもらえるような戦略が必須です。
ホームページや、ポスティングなどを活用することはとても大切ですが、継続して広告活動をしていると費用がかさんでしまいます。適切にターゲットを絞り込み、広告を出す期間や時期などを考慮して、新規患者を呼び込むようにしましょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
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設備 | 約1,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約817万円 |
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介護収益 | 約7万円 |
人件費(院長の収入は含まず) | 約268万円 |
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医療品費 | 約122万円 |
その他 | 約270万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約164万円(年収:約1,977万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
外科クリニックの開業については外科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
眼科では、白内障の手術を行うのかどうかによって、設備費用が大きく変わります。眼科のコンセプトを明確にして、受け入れるターゲットの患者を事前に考えておきましょう。
年齢層を問わずに訪れる人の多い診療科なので、家族住まいの多い立地で開業すると、集患がスムーズです。幅広い層を受け入れる体制を整える必要があるので、視力の低い子供や車椅子の患者のことも考え、バリアフリーにも配慮した院内づくりを心がける必要があります。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万〜 |
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設備 | 約2,000万円〜4,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約448万円 |
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介護収益 | 0円 |
人件費 | 約138万円 |
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医療品費 | 約43万円 |
その他 | 約141万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約126万円(年収:約1,512万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
眼科クリニックの開業については眼科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
眼科と同様に、年齢を問わず患者が来院するので、開業からターゲットをしぼって広告していくと良いでしょう。特に地域ごとのカラーに合わせ戦略を考えると、集患しやすいです。
また、自由診療も考えている場合は、女性の目線を意識した院内づくりも重要になります。化粧を直すスペースや、安心して利用できるパウダールームの設置もレイアウトに組み込むと良いでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約1,500万円〜 |
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設備 | 約500万 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約499万円 |
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介護報酬 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約125万円 |
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医療品費 | 約16万円 |
その他 | 約132万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約226万円(年収:約2,709万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.157
皮膚科クリニックの開業については皮膚科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
泌尿器科医自体が少ないこともあり、患者の取り合いになることはほぼないでしょう。開業している病院も多くないので、開業する場所を選べばその地域の患者を独占することもできます。
この診療科の特性上、トイレの設備は充実させる必要があり、たとえ小さめの病院でも患者向けのトイレを2つ以上は設置します。そのようなものを含め、設備費用は約1,000万円〜3,000万円です。
院内のレイアウトにも気を配りましょう。男女に分けた動線を考えるなど、患者が恥ずかしさを感じにくいような院内設計を考える必要があります。
泌尿器科クリニックの開業については泌尿器科の開業成功ポイント|必要な開業資金や開業後の年収も紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
整形外科は、どの設備を導入するかをよく検討するようにしましょう。無駄な設備投資は、経営を苦しめることに繋がってしまいます。
若年層を狙って集患していくのであれば、スポーツ整形外科を推していくのも手です。コンセプトを明確にして、ターゲット層を念頭においた戦略を考えましょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
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設備 | 約1,900万〜2,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約805万円 |
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介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約215万円 |
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医薬品費 | 約166万円 |
その他 | 約175万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約249万円(年収:約2,988万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
整形外科クリニックの開業については整形外科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
子供が多く来院する診療科なので、キッズルームの設置や院内の雰囲気づくりなどを踏まえたレイアウトを考えましょう。
順番待ちの人数が分かるような予約システムを導入することもおすすめです。他の科にも通じることですが、長く待たされることは患者にとってとても不快に感じます。特に、具合の悪い子を連れてきている親御さんからしてみれば、そんな状態で長く待たされてしまうことは大きなストレスになるでしょう。
小児科では特に、患者目線の院内づくりを大切に経営していくべきです。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
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設備 | 約1,000万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約803万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約222万円 |
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医薬品費 | 約156万円 |
その他 | 約169万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約256万円(年収:約3,068万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
小児科クリニックの開業については小児科クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
産婦人科は、患者のプライバシーを配慮した設備や院内レイアウトがとても重要です。安心して来院してもらえるような内装を検討しましょう。
この診療科の特性上、女性医師であれば、それ自体が強みになります。ホームページを作成する際にも、女性の医師であることをアピールすることや、スタッフもこの科に合わせて女性の多いクリニックにするなど来院しやすい環境をつくることが大切です。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約567万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約172万円 |
---|---|
医薬品費 | 約73万円 |
その他 | 約169万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約153万円(年収:約1,834万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
不妊治療のクリニックは、開業の設備のみで約5,000万円以上です。無菌室や培養室などの設備投資が必須で、他の診療科に比べると高額となってしまいます。
現在、不妊治療の需要は高まってきているので、これからも求められる診療科であることは間違いありません。ただ、経営の観点からみると、開業当初からしっかり集患をして収支を安定させることは少し厳しいです。他の病院から患者を紹介してもらうなどの工夫が必要でしょう。
産婦人科と不妊治療クリニックの療法を標榜して経営していくのであれば、個人事業で年収6,000万ほどは可能です。
都市部では耳鼻咽喉科の競合が多いので、郊外での開業が良いでしょう。地域に合わせたニーズを打ち出して戦略を練ると良いです。
また、自分の専門領域を掲げて集患することで、他の医院との差別化になり集患が見込めます。ホームページなどの広告に力を入れて、老若男女問わず、あらゆる層をターゲットにしてもよいでしょう。
開業資金
土地や建物 | 約3,000万円〜 |
---|---|
設備 | 約2,000万円〜2,500万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約552万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約205万円 |
---|---|
医薬品費 | 43万円 |
その他 | 約146万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約158万円(年収:約1,890万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.150
耳鼻咽喉科クリニックの開業については耳鼻咽喉科の開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
精神科は近年数が増えてきている診療科です。クリニックが多くあるエリアを避けて開業すると良いでしょう。
また、プライバシーを配慮したレイアウトも必須です。通院していることを周りに知られたくないと感じる患者も多いでしょう。仕切りのパネルを設置するなどして、安心して通える医院を心がけましょう。
児童精神科も標榜するのか否かも、開業時に考えるべきポイントです。
開業資金
土地や建物 | 約1,000万円 |
---|---|
設備 | 約400万円 |
月あたり収支および院長の収入
診療報酬 | 約654万円 |
---|---|
介護収益 | 0円 |
人件費(院長の収入は含まない) | 約164万円 |
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医療品費 | 約180万円 |
その他 | 約94万円 |
院長の収入(収益-経費)はひと月あたり約216万円(年収:約2,587万円)です。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)-令和元年実施- p.149
精神科クリニックの開業については精神科の開業成功ポイント|開業資金や開業スケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
在宅医療は設備等の開業資金が抑えられる点がメリットではありますが、24時間365日体制を整える必要があるので、医師自身の生活スタイルもよく考えていかなければなりません。
連携している外来のクリニックとの連携を上手くとることや、患者の家族とのコミュニケーションなど、通院する医院にはないサポート体制を構築していく必要があります。
在宅医療は、外来診療に比べて診療報酬が高いことも特徴の一つです。
在宅医療クリニックの開業については訪問診療クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まず脳神経外科は、画像診断装置を取り入れるかどうかによって大きく開業資金が変わります。2億5,000万ほどあれば、装置を導入して開業も可能でしょう。取り入れない場合は6,000万円ほどです。医院の規模によって異なりますが、安定して経営していくことができれば、3,000万〜8,000万以上の実質収入を得ることができます。
内科は、内装に注意が必要です。バリアフリーを意識して、テナントを借りるのであれば1階で、50坪以上の面積を確保しましょう。この診療科の特性上、駐車場もあると、患者の家族が送迎できるので集患しやすいです。
脳神経外科クリニックの開業については脳神経外科クリニック開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
美容クリニックで行われる施術は、ほとんどが自由診療です。勤務医の美容クリニックの専門医で年収は1,500万〜3,000万程度なので、個人で開業し上手く経営を軌道にのせることができればそれを大きく上回る収入を得ることができるでしょう。
しかし、設備費用などの初期費用は、整形外科同様に高額になってしまいます。おおよそ5,000万円〜1億円ほどは覚悟しておきましょう。昨今では、男女問わずに美容に関する需要が高まっているので、今後もさらに求められる科だと言えます。
美容クリニックの開業については美容クリニックの開業成功ポイント|開業資金やスケジュールも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここでは、クリニックを開業するメリットとデメリットを解説していきます。クリニックを開業するメリット・デメリットはそれぞれ下記の通りです。
メリット
デメリット
クリニックを開業する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に判断することが大切です。以下、それぞれ解説をしていきます。
クリニックを開業するメリットは下記の通りです。
クリニック開業のメリットひとつめは、勤務位時代に比べて大幅に年収が増える可能性がある点です。まず、勤務医と開業医の平均年収はどれくらい違うのでしょうか。第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告によると勤務医の平均年収が約1,440万円であるのに対して、開業医は平均年収が約2,527万円と大幅に収入に差があります。平均年収面で開業医が上回っていることもさることながら、開業医の年収は伸びしろの上限がほぼないともいえます。例えば、複数のクリニックを運営する医療法人となれば、さらに大幅な年収アップが見込めるでしょう。
クリニック開業の二つ目のメリットは、働き方をある程度自分の裁量でコントロールできるようになる点です。診療時間は、自分で決定できる、医院の拡大に伴い別の医師を採用することでその時間は他の業務や学会参加が可能になるなど、自分の意思である程度働き方をコントロールできます。ただし特に開業当初など、医院が軌道に乗るまでは慣れない事務作業や集患対策業務をすべて自分で行う必要がある、代診など代わりがいないので休めないなど勤務位時代以上にハードワークをすることになる場合も多いです。単に楽になりたいという軽い気持ちで開業を決断するのは危険なので、やめておきましょう。
クリニック開業のメリット3つめは、自分の裁量で標榜する診療科や医療スタイルを決定できるという点があります。勤務医時代は、人によりますが診療科目や診療スタイルはある程度、病院の方針や指示に従って決めていたかと思います。なかなかやりたいことができないといったストレスを感じていた方も多いのではないでしょうか。クリニックを開業すると診療科目や診療スタイルは自分で決められるようになるので、理想の医療スタイルを追及していくことが可能になります。
クリニックを開業するデメリットは下記の通りです。
クリニック開業時にはそれなりの費用がかかります。融資も行いますが、ある程度は自己資金から出資することになる点は覚悟しておきましょう。自己資金額の目安は、標榜する診療科や開業形態によって大きく異なりますが、800万円~1,600万円ほど必要とされています。
クリニック開業のデメリット二つ目は、経営・収入が不安定になるリスクがある点です。集患などに失敗し、想定より患者数が下回ってしまうと資金繰りが厳しくなり最悪倒産のリスクも発生します。また、スタッフの定着率などが下がり人出不足により診療日を減らさざるを得ないといったリスクもあります。
クリニック開業のデメリット三つめは、勤務医時代以上の長時間労働になる可能性がある点です。クリニックを開業すると、診療などの医療行為以外にも、経営、集患、経理など多岐にわたる業務を行う必要があります。また、自分が最終責任者でもあるため、妥協した仕事も許されません。結果的に、特に立ち上げ当初は勤務医時代以上の長時間労働となる場合も多く、心身ともに大変だということは覚悟しておきましょう。
帝国データバンクが公表している資料によると、2021年のクリニックの倒産件数は33件です。開業により成功を収めている先生がいる一方で、経営が傾き倒産に追い込まれているクリニックがあるのも事実です。過去の失敗した事例からしっかり学び、知識を蓄えましょう。
出典:帝国データバンク「医療機関の倒産動向調査(2021 年)
クリニック開業の失敗事例については開業医のよくある失敗事例まとめ|失敗しないための注意点・ポイントでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ここからはクリニックの開業が失敗につながる要因をお伝えしていきます。開業医が陥りがちな失敗を理解しておくことで、自身が開業する際に同じ失敗をしないように気を付けることが出来ます。
クリニックを開業する上で最も大切なことは、地域の患者様の属性にあった医療を提供することです。そのためにも、開業候補地周辺の住民の年齢層や人口動態から、現在および将来の患者需要を予測する必要があります。また、競合クリニックの数から自院への来院患者数がどの程度見込めるのかを分析して、戦略を練ることも大切です。
開業候補地の調査が不十分であったり、誰にどのような医療を提供するのかが曖昧なまま開業をしてしまうと、開業後に取り返しのつかない事態になりかねません。開業時の準備不足は、将来のクリニック経営に深刻な問題につながることを肝に銘じておきましょう。
こちらもよくある失敗パターンの一つです。金融機関からの借入額の総額は、先生の信用度、見込める患者需要、毎月の返済可能額などに応じて決まってきます。開業前に借入をした資金を「設備資金」に回しすぎてしまうと、「運転資金」に回せる金額が少なくなってしまい、資金のやり繰りが厳しくなる事態が想定されます。
医療機器への投資基準として、使用頻度を考慮することが大切です。高額な医療機器であっても高い使用頻度が見込め、診察や治療に必要な機器であれば揃えた方がいいでしょう。一方で安価な医療機器であっても、限られた少数の患者様にしか使用しないような機器であれば、採算性を考慮して本当に必要な機器であるかを再度検討する必要があります。場合によっては、自院で全ての医療機器を揃えずに、外部の医療機関との連携や、検査会社への外注により必要な検査結果を得ることも可能です。医療機器への投資は無理のない範囲で行うことが大切です。
開業時のスタッフの採用の成否は、その後のクリニックの経営に大きく影響を及ぼします。採用に時間を掛けられずに、性格に問題のあるスタッフや、職場の雰囲気に合わないスタッフを採用してしまう事態は避けなければなりません。採用が後手に回り、スタッフの研修がおろそかになってしまう事態も避けたいところです。
開業予定日を安心して迎えるためには、余裕をもってクリニックに合ったスタッフが採用できるかがカギになります。そのためには計画的に募集・採用をして、複数の候補者の中から自院にあったスタッフを選べるようにしておく必要があります。うまく応募者が集まらない場合には、求人媒体を変えるなど、柔軟に採用方法を見直すことが大切です。
また面接の際は、一緒に働きたい人物像を明確にして、前もって質問事項を準備しておくようにしましょう。院長一人で採用を行うのではなく、複数人の目で一緒に働くスタッフを選ぶことが望ましいです。
クリニックの内装は先ず来院される患者様に寄り添ったものであるかを考える必要があります。例えば、壁の色が派手すぎたり、照明が明るすぎたりする内装では落ち着かない患者様もいることでしょう。小児科のように小さな子供が来院するクリニックでは、キッズスペースを設けたり、子供と一緒に親御さんも診察室に入れるように診察室を広く設計したりするなどの工夫があるといいでしょう。患者様が気持ちよく過ごせる空間であるかを意識して内装のデザインを考える必要があります。
同時に、診療・検査・処置などの様々なシチュエーションで、患者様とスタッフ双方がスムーズに移動できる動線が確保されているかも大事なポイントです。患者様の動線を確保した上で、患者様と交わることなくスタッフが自由に動けるように動線を確保することが大切です。
その他、導入する医療機器のことも考慮が必要です。あらかじめ医療機器の設置場所を定め、建物の構造が医療機器の使い勝手の制約にならないようにしなければいけません。
クリニック数増加による競合の激化、慢性的な人手不足、最低賃金の引上げなど、クリニックを取り巻く環境は年々厳しさを増しています。これから長く存続していくクリニックを築くためには、4つの重視すべき点があります。
これらはどれも大事な要素になりますが、開業時に大事になるのは第1に開業をする場所で、その次に医療サービスの質と医師やスタッフの人柄、最後に内装や医療機器になります。ここで大事なのが、開業では、ハードよりもソフトを重視して準備を進めた方が良いということです。患者様が来院を決める基準として、○○の機器があるから行くということより、先生やスタッフの質で行くことを決めることが多いです。スタッフや患者様とのコミュニケーションや採用や職員の教育などのソフト面をおろそかにしないことが大切です。
少子高齢社会の進展により、働き手が不足する問題は今後ますます深刻化していきます。人手不足の状況ではスタッフ1人1人の業務負担が増加し、人的ミスも起きやすくなってしまうことでしょう。電子カルテや予約システム、セルフレジなどのICTツールを上手く活用することで、スタッフの業務負担が軽減され、人的ミスの防止にもつながります。限られた人員の中で生産性を高める事が可能です。開業に際してはICTツールの導入も併せて検討することをおすすめします。
ここでは、実績が豊富でおすすめのクリニック開業コンサルティング会社として、以下の5社を紹介していきます。
クリニックの開業コンサルについてはクリニックの開業コンサル14選|選び方や費用相場も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
株式会社日本医業総研は、非常に実績豊富な開業コンサルティング会社です。 クリニックの開業までの支援に留まらず、開業後も経営の安定性や人材の確保など継続的な支援を行います。豊富な実績に基づく、データやノウハウから、開業後の経営を高い制度でシミュレーション可能な点も大きな強みです。
公式ホームページ上にも「黒字化をお約束します」とあり、サービスに対する大きな自信と、その自信を裏付ける実力の高さが伺えます。
株式会社船井総合研究所は幅広い業種を手掛ける大手開業・経営コンサルティング会社です。クリニックに絞った実績ではありませんが、年間で5,500社以上と圧倒的な数の企業に対するコンサルティングを行っています。また、船井総合研究所を利用する経営者同士の交流の場として、業種別の経営研究会が年間1,000件以上実施されている点、独自のノウハウやデータが可能な点など、様々な魅力があります。
株式会社メディセオは120年以上の歴史がある大手医薬品卸会社で、クリニックの開業支援もサービスとして提供しています。メディセオの開業支援サービスの大きな強みとして、医療機器や医薬品の販売を行う企業だからこそできる、各クリニックに最適な医療機器、医薬品の提案力です。
総合メディカル株式会社は、医療福祉領域において多岐にわたる事業を展開する企業です。開業・経営コンサルティングの他、医業承継の支援、医療機器のリース、薬局の運営など様々な事業を行っています。開業コンサルティングでは、全国4,000件以上の実績と豊富な非公開継承物件・開業物件情報を持っている点が強みです。また、そうごう薬局と連携した開業を実現することも可能です。
FPサービス株式会社は開業までの支援だけでなく、開業後の経営もコンサルティングし、理想の医療の実現をサポートすることをコンセプトとした企業です。関東エリア・関西エリアを中心に多くのクリニックの開業支援実績があります。 開業コンサルティングを利用した先生からの評価が高い点も特長です。
こちらの章では、開業前に知っておきたいことをQ&Aでまとめています。 すでにお伝えした内容も含まれていますが、再度確認をしてみてください。
一般的に、40代〜50代前半が多いです。専門医としての技術を十分に備え、20年くらいの事業計画をもち開業する医師がほとんどです。
医師が開業する平均年齢については医師が開業する平均年齢や適齢期はどれくらい?具体例も交えて解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
診療科によって異なりますが、厚生労働省の調査によると、開業医の平均年収は約2,749万円です。
勤務医の場合は、緊急で手術が入ったり、患者の体調が悪くなると手当に呼び出されたりと常に忙しい日々です。
開業医は、そういった場面が少なく、外来の患者を診察する時間が主な時間です。前もって決まっていない限り、突然手術や検査をすることはありません。
開業医の平均年収・働き方については開業医の年収・働き方とは?勤務医時代とどう違う?でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
開業に関するノウハウや、経営についての専門書を読んでおくと良いでしょう。また、開業医の体験談をまとめた書籍も非常に参考になります。具体的な失敗談、もしくは成功した話を知ることで、多くの知識を蓄えることができます。
入っておいた方が良い保険は以下の4つです。
休業補償は、従業員の給料や家賃などの固定費、借入金の返済などに備える保険です。万が一、院長が休業せざる得なくなった場合に、補償があると安心材料の一つになります。
クリニック開業時に加入しておくべき保険については開業医が加入すべき保険は?保険の種類や知っておくべきリスクまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医局制度が次々と廃止され、医師の労働環境も時代の変化と共に大きく変わってきています。これにより、医師1人1人のキャリアプランの自由度が増し、クリニック開業についても変化している状況です。この章では、現在のクリニック開業において、開業時期の変化や開業地の選定、医院の経営などの現状について解説します。
出典:社団法人日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」
近年では40代での開業が中心です。以前は30代での開業が主流でしたが、ある程度勤務医として経験を積んでから開業する方が増えています。
とにかく開業すれば患者が集まるという時代は終わり、競合を意識したマーケテインングがなければ成功は難しいでしょう。それを背景に、中には大学院の在学中からすでに開業を視野に入れて準備を進めるなど、開業に伴う意識は確実に変わってきています。
依然として開業エリアは都市部に集中しており、地方での開業は少ないのが現状です。中でも駅前やバス停がある場所など、利便性が高いエリアや住宅地が人気となっています。
それだけ患者を見込めるという予想は立てられますが、競合が多いためにさまざまな工夫が必要になるでしょう。
現在、医療現場ではICTツールを導入する動きが加速しています。ここではそれぞれの機器について紹介していきます。
出典:新規開業クリニックに関する法人アンケート調査を実施(2019年)
近年は、保険診療に加えて、美容皮膚科などの自由診療で開業する医院も増えています。
広告宣伝費がかかることや、競合の医院が集中していると価格競争が起こる可能性がありますが、自由診療の美容は単価が高く、安定した経営を見込めるでしょう。
クリニックの開業にあたり、コンセプトや事業計画策定、資金調達、内装工事など対応すべきことは多岐にわたります。開業半年前を目途に、クリニックのホームぺージも用意する必要があります。セカンドラボでは医療機関向けホームぺージ・採用サイト作成事業も行っているので、ご不明な点があればお申し付けください。
最近は、「開業プレサイト(プレオープンサイト)」という形で、新規開業に先駆けて、地域の皆様にクリニックを認知してもらうサイトを作るケースも見られます。開業前にコンテンツ記事の執筆を一定数行えば、開業直後からウェブ経由の新規患者さまを獲得することも十分実現できます。
サイトが完成しない段階でホームぺージを公開してしまい、不完全な部分は開業までに少しずつ仕上げていくイメージです。ホームぺージは公開してから検索エンジン上に掲載されるまで一定の時間がかかるので、不完全でもまず公開することは理に適っているといえます。
開業にはリスクが伴いますが、自分のクリニックを構えることで得られることが多くあります。病院経営が軌道にのれば、勤務医に比べると倍以上の収入が見込め、ライフプランの幅はさらに広がるでしょう。
そのためには、開業前から入念に経営計画を立て、診療科に合わせた立地選びをすることや、地域のニーズを理解することが必要です。
開業医としての将来設計を考えているのであれば、医療技術だけでなく、経営者としての観点をもって準備をしていきましょう。
過去の失敗事例等も参考にして、ぜひクリニック開業に挑戦してみてください。
現在、上記のようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひとも私たち「2ndLabo」にご相談ください。開業に必要な情報をまとめた業界最大級の独自データベースとコンシェルジュの知見で開業準備、そして開業成功に向け伴走いたします。
相談は無料です。コンサルティング会社を複数比較したい、開業準備や計画に対するアドバイスが欲しいなど、何でもお気軽にお問い合わせください。
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