医師のキャリアプランとは?年代別、勤務形態別の目標設定方法まで

更新日 2023.11.16
投稿者:中川 圭介

医師のキャリアプランは非常に大切です。しかし、いざキャリア設計しようと思っても、なかなかイメージできないという方も少なくないでしょう。

今回の記事では、年代別・目標別の医師のキャリアプランの目標設定方法を解説していきます。また、医師のキャリアプランに影響する社会の動きに関しても解説しているので参考にしてみてください。

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目次

医師のキャリアプランが大切な理由

医師としての人生を歩んでいくとき、今後の具体的なキャリアプランがイメージできないという方は少なくありません。医師という仕事は多くの人に頼られるものであり、長期間現役として続けられる職業です。そのため、実際のところキャリアプランについてそれほど深く考えなくても、医師として活躍し続けることはできます。

しかし、医師としての実力をつけて、知識や技術を磨いていくことで、働き方の選択肢を増やすことが可能です。理想とする待遇や環境、プライベートと仕事のワークライフバランスなど、働き方の自由度が増します。

自分の理想は、どのような働き方なのか?

今一度じっくりと考えてみるといいでしょう。その上で、理想に近づくためにはどうすればいいのかを深堀りしていきます。キャリアプランの形成は、理想に近づくためには欠かせません。具体的にキャリアプランをイメージすることで、自分が今やるべきことが見えてくるでしょう。

【勤務形態】医師のキャリアプランの種類

ここでは、医師のキャリアプランの種類を紹介していきますので参考にしてください。

【医師のキャリアプランの種類(勤務形態)】

  • 勤務医
  • 開業医
  • 研究医
  • 民間での勤務

勤務医

多くの医師は、勤務医からスタートします。しかし、実際に現場で働くなかでイメージとのギャップを感じることは少なくありません。そのような場合は、転科や他の医療機関への転職を検討していいかもしれません。

開業医

近年は、自由度の高い働き方や、自分が目指す医療サービスを実現するために開業する医師が多いです。特に、最近は自由診療での開業も人気となっています。

自由診療の場合、保険診療よりも高収入が期待でき、プライベートの時間を確保しやすいため、ワークライフバランスの実現が可能です。

研究医

研究医は、治療法が確立されていない疾患の原因究明を行ったり、薬学や生化学などの分野で専門的な研究を行ったりするのが仕事です。また、論文を作成し、学会などで発表することもあります。

医学の進歩に貢献するために、日々研究を重ねるのが研究医です。

民間での勤務

民間企業で医師としての経験を活かす道もあります。 製薬会社などで勤務する医師は少なくなく、今後開業を考えているのであれば、ビジネスを学ぶこともできるでしょう。

【年代別】医師のキャリアプランの考え方

ここでは、年代別の医師のキャリアプランの考え方を解説していきます。

【年代別・医師のキャリアプランの考え方】

  • 20代|専門性を高める
  • 30代|キャリアチェンジも選択肢
  • 40代|リーダーシップも必要に
  • 50代|給与水準よりも働き方を考える

20代|専門性を高める

20代は、医師としての土台を作る期間だと考えるといいでしょう。2年間の初期臨床研修で基礎となる臨床経験を積み重ねていき、3年間の後期研修で専門性を身に付けていきます。

多くの知識やスキルを身に付けることに注力することで、将来の可能性を広げることが可能です。逆に、この期間を疎かにしてしまうと、医師として成長していくのは難しいでしょう。

30代|キャリアチェンジも選択肢

30代は、20代の間に作り上げた土台をもとに、さらに経験を積み重ねて専門性に磨きをかけていく時期です。専門医・認定医の資格取得は、30代が多い傾向にあります。指導やマネジメントに携わるようになる医師も少なくありません。

今後のキャリアを考えるうえでも、30代が大きなターニングポイントになるでしょう。なかには、別の医療機関へ転職したり、フリーランスになる人もいます。

30代は結婚や育児など、ライフステージの変化にも対応する必要があるため、仕事だけではなく人生において大きなポイントになる時期です。

40代|リーダーシップも必要に

40代は、すでに医師としてさまざまな経験を積んでいる時期です。そのため、チームをまとめるリーダーシップも求められます。また、実力がある医師は市場価値が高くなり、転職する際は有利に進めることが可能です。実績やタイミングによっては、好待遇のオファーを受けることもあるかもしれません。

40代の行動次第で、生涯年収が大きく変わると言ってもいいでしょう。たとえば、生涯現役で医師として働き続けるのか、もしくは指導する立場になり医師を育てるのか、決断を下す段階です。

開業を考える場合も、40代が最後のタイミングになるでしょう。40代以降の場合は融資を受けることが難しくなるので、開業資金を調達できない可能性があります。

50代|給与水準よりも働き方を考える

50代は、給与水準よりも自身の働き方を考える時期になるでしょう。なかには、人生の質を考慮して、比較的ゆるい勤務形態の病院に転職する医師もいます。たとえば、外科系の医師が内科系に転科することも珍しくありません。

50代は、どのようにキャリアを終えるか決める最後のキャリア設計です。そのため、自身が納得のいく決断をしたほうがいいでしょう。

医師がキャリアプランを考える際の観点

ここでは、勤務形態・年代を問わず、医師が必ず考えるべきポイントを紹介していきます。

どれくらいの収入を希望するか

自身がどれくらいの収入を希望しているかで、キャリアプランは異なります。現在の収入と希望する収入の差が明確になれば、どのように行動するべきかが見えてくるでしょう。

そのため、まずは理想の収入をはっきりとさせて、そこから逆算してやるべきことを整理するのがおすすめです。

どんなライフスタイルを希望するか

労働時間・業務上の責任・仕事と家庭のバランスなど、精神的・肉体的な負担のバランスもよく考えたほうがいいでしょう。まずは理想を明確化し、その上で現在の状況を整理します。

たとえば、労働時間を今より短くしたいのであれば、労働時間を短くしつつ収入を下げないためにはどうすればいいか考えてみるのです。

何にやりがいを見出すか

医師としてさまざまな業務をこなす中で、自分がやりがいを感じる瞬間があるでしょう。もしくは、最初はつらくても少しずつやりがいを感じるようになる瞬間があるかもしれません。

患者に感謝されたとき、後輩を指導しているとき、チームをまとめているとき、やりがいを感じる瞬間は人それぞれです。
自分がやりがいを感じる瞬間を冷静に見つめて、言語化することで、今後の道筋が見えてきます。

医師のキャリアプランに影響する社会の動き

ここでは、医師のキャリアプランに影響する社会の動きについて解説していきます。

医師が供給過剰になる

医師の供給需給推計

現在、日本は少子高齢化社会で医療へのニーズは高いですが、人口減少に伴い、将来的に医師が供給過剰になると言われています。一方で、医師の地域の偏在によって医師不足が叫ばれているのも事実です。

たとえば、とある県の人口10万対医師数が300人だとします。しかし、他のある県では150人という状況が起きているのです。このような医師の地域の偏在によって、医師不足が問題となっています。

出典:厚生労働省|令和2年医師需給推計の結果

AI、IT化の動静

医師が余ると考えられているのは、人口減少による影響だけではなく、働き方改革の影響もあるのです。現在、働き方改革の波は医療業界にも押し寄せており、医師の過酷な労働環境を改善するためにAIやIoTが積極的に導入されています。

もちろん、医師不足と叫ばれている中でこのような技術はメリットが多いです。しかし、これは医師の需要が減っていくことを意味します。便利なAIやIoTが淘汰されることは考えづらいです。そのため、医師の業務をAIやIoTが担うことはあっても、その逆は可能性が低いでしょう。

医師の働き方改革

医師の働き方改革のなかで注目されているのが「時間外労働の上限規制」です。医師は、緊急対応や当直など、勤務時間が長くなります。しかし、労働時間を適正化するために、罰則が設けられたのです。

時間外労働の上限規制の水準・対象・時間外労働規制は、以下の表のようになっています。

水準 対象 時間外労働規制
A水準 すべての医師
(通常の医療機関勤務で、下記の例外に当てはまらないもの)
年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む)
B水準 地域医療暫定特例水準
(救急病院や救急車の受け入れが年間1000台以上など、緊急性の高い医療を提供する医療機関)
年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)
C水準 集中的技能向上水準
(初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師や研修を実施する医療機関)
年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

上限規制に違反した場合は、6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦(労働基準法141条)が課せられます。

医師の働き方改革については2024年に迫る医師の働き方改革とは?要点と何をすべきか解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

なかなか上がらない診療報酬

現在、日本では少子高齢化によって労働人口に対して、高齢者人口の割合が増えています。そのため、国内全体の医療費が増えているのです。2021年の国家予算は106.6兆円でしたが、そのうち46.6兆円が国民医療費となっています。過去20年間で約1.5倍に増えており、国民医療費の6割は高齢者です。この流れは、今後も続いていくでしょう。

現在、医療費圧縮のために診療報酬の改定が行われていますが、診療報酬が下がることで医療機関の利益に影響が出るため、経費削減に取り組みます。そうなると、経費に含まれる医師の給与も下がってしまうのです。

診療報酬制度については診療報酬制度とは?仕組みから加算まで簡単にわかりやすく解説!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

医師のキャリアプランのモデルケース

ここでは、医師のキャリアプランのモデルケースを紹介していきます。

勤務医→開業医のケース

勤務医から開業医になった場合、収入・診療内容・プライベートに変化が生じます。
勤務医の場合、収入面は勤務先で定められている報酬が安定的に支払われますが、開業医の場合は医業収益と保養の差額がそのまま報酬となるのです。収入を安定させるにはさまざまな努力が必要ですが、努力の成果が収入に直結するので、そこにやりがいを感じる医師は少なくありません。

診療内容に関しては、勤務医の場合は勤め先の方針に従う必要がありますが、開業医は自分で方針やコンセプトを決めることが可能です。責任は大きくなりますが、理想とする医療サービスを提供できるようになるでしょう。

プライベートも、勤務医時代とは変わってきます。勤務医は、勤務日が決められており、当直やオンコールは避けられません。しかし、開業医は診療時間や休診日などを自分の裁量で決められます。これは売上に影響するので慎重に検討する必要がありますが、自分の時間を増やすことが可能です。

臨床医→研究医のケース

基本的に、臨床医は患者と対面して診察を行います。一方、研究医は研究を専門的に行うため、患者と対面する機会はほとんどありません。

臨床医の中には、研究に興味を持つ人も少なくないです。研究医は、研究内容によって基礎研究医と臨床研究医に分類されます。

それぞれの基本的な違いは、以下の通りです。

基礎研究医

  • 生理学・生化学・解剖学のような人体に関わるもの
  • 病理学など病気のメカニズムに関わるもの
  • 薬理学など薬剤開発と設計に関わるもの

臨床研究医

  • 新薬の効果測定や治療方法の考案などを行う。

臨床研究医は、医療機関で診療を行いつつ、研究も行う医師兼研究者です。自らも診療現場に立つため、全員が医師免許を所有しています。

女性医師のケース

女医が多いのは、皮膚科・眼科・麻酔科・産婦人科・小児科です。これらの診療科目は、仕事のオンとオフをはっきりさせやすい傾向にあります。

たとえば、皮膚科や眼科は長時間にわたる手術やオンコールがありません。そのため、結婚・出産を経ても職場に復帰しやすいです。

まとめ

医師がキャリアプランを明確にすることは、今後の人生においても非常に重要です。しかし、キャリアプランを考えると言っても、なかなかイメージしづらい部分もあるかもしれません。

そのような方は、今回の記事の内容を参考にしてみてください。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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